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むりやりさせられでびゅー/ヤンデレ眼鏡くん×依存型えせヤンキーくん
■特殊設定注意=最終的に受けのコが孕みます
「扇、髪の色を戻せと言っただろうが!」
四月早々、新入生にして学年関係なしに多くの生徒に名が知れた一年生がいた。
「あ、扇だ」
「柴田くん、同中だっけ?」
「うん。しかも同小」
朝、校門で服装チェックしていた教師に怒られているのは扇颯大 、一年Dクラスの男子生徒だ。
怒られるのもわかる、だってパツキンだもの。
制服の学ランもこれみよがしに着崩していて服装チェックを突破できないのは一目瞭然だった。
「ちゃんと制服着ろ!」
「ッ、触んじゃねーよ!」
「あいつ頭わるいコなの? 入学式でも怒られてたよね? 高校デビューのつもりか何か?」
「ううん、扇は中学デビューだった、確か」
「へ~~」
「小学校んときはぜんっぜん、大人しかったし……あ、高遠! ほら、また扇が怒られてる」
「あ、同じクラスの、えっと」
「高遠。こいつも俺や扇と同中で同小」
「……おはよう、柴田、△△」
黒縁眼鏡をかけた、学ランを第一ボタンまできっちり締めた一年Dクラスの高遠椎那 は小学校時代から同じ学校に通い続けている同級生のそばをあっさり擦り抜けていった。
教師とぎゃーすか揉めている、同じく小さい頃から学校生活を共にしてきた颯大のそばも淀みない足取りで通り過ぎていく。
「変なの」
「え、なにが?」
「扇と高遠。小学校んときはすげー仲よかったのに。中学上がってからはぜんっぜん。なんでだろ」
「扇のデビューが影響したんじゃ?」
「うーん」
昔の颯大と椎那の仲を知っている一年Dクラスの柴田は釈然としないのだった。
「扇君、どこに行くんですか?」
「トーイーレ」
「トイレは休み時間に、あ、扇君、待ちなさいっ」
授業中にいきなり席を立ったかと思えば教室を出て行った颯大。
ため息をつく教師、呆れるクラスメート、クスクス笑う女子と揶揄する同類じみた男子。
教科書に視線を落とし続ける椎那。
やっぱり首を傾げる柴田。
五分後に戻ってきた颯大は昼休みに職員室へ来るよう言われたが、きっぱり無視して、同類じみた男子とぎゃーぎゃー食堂で無駄に騒ぎ立てランチをとるのだった。
気になる柴田は椎那に聞いてみた。
「扇ってさ、なんでああなっちゃったのかな?」
「さぁ」
思い切って颯大にも聞いてみた。
「なぁ、扇、」
「あ、誰か知んねーけど代わりに頼むな」
燃えるゴミの袋をどさっと渡されて答えは聞けずじまい。
俺のこと覚えてないんだ、扇。
ずっと同じ学校に行ってたのにな。
「柴田くん、部活見学行こーよ」
「本命どこ? やっぱバレー?」
「うん、中学やってたし、やっぱバレーかな」
ま、いーか。
「……しぃちゃん、おれ、もうやめたい」
「駄目」
「っっっ……先生に怒られるの怖いし、お母さんとお父さんも、すごく心配してる」
「ふぅん」
「いつまで……こんなこと……そもそもどうして……こんなこと?」
涙目な颯大に椎那は微笑みかける。
「俺だけが颯大の本当の姿を知っていたいから」
「え?」
「誰にも見せる必要ない。俺だけに見せてくれたらいい。優しくてかわいい颯大。は。俺だけのもの。そうでしょ?」
「……しぃちゃん」
髪の色も着崩した制服もいい加減な言動も、全て、椎那の指示。
大好きな椎那の命令に颯大は従った。
小学校を卒業して中学校に入学する、その時から、ずっと。
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