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マッドハッターのふらちな逢引夜会/童話パロ/騎士団長×帽子屋/敵対あまあま
■この話は別シリーズ「The Story of.....」から移動させた作品です
世にも奇ッ怪な怪物どもが闊歩する、そッりゃあ不気味な森。
水煙管を嗜むイモムシに神出鬼没の口裂け猫、時に凶器じみた翼を翻して遥か頭上を飛んでいく鷲獅子。
こんな森に住む人間がいようものなら、きっと、そいつの頭はマトモじゃあない……。
「はぁはぁ、帽子屋様~帽子屋様~」
時に森の中で開かれる昼下がりのお茶会。
アンバランスなティーテーブルにはあべこべティーセット、どぎつい発光色のお菓子が無造作に置かれ、腹ペコ蟻が皿にたかっていたり、いたずらネズミがうろちょろしていたり。
席に着いているのは一人だけ、後は空席のみ、だ。
「帽子屋様のお履き物~美味~美味です~」
席に着いている彼はお菓子をもぐもぐ中、妙な声はチェックのテーブルクロス下から聞こえてくる。
「ああ~帽子屋様~私の女王様~」
「あらら、そんなセリフを聞かれましたらば本物のクィーンに首を刎ねられますよぉ、貴方?」
値札がつきっぱなしのシルクハット。
吊りがちひんやり目にかけられた色眼鏡、はらりとかかる前下がり髪は毛先がちょいピンクのグラデーションカラー。
黒ベースの燕尾服を崩したようなリボンタイのラフ正装に、チェーンベルト、シルバーリングなどの小物やアクセがバッチシ効いている。
彼はいかれ帽子屋。
この国を支配する女王に死刑宣告を受けている罪人だ。
そんな帽子屋の黒光りするヒールローファーをテーブル下でさっきからずっと舐め舐めしているのは女王お抱えの騎士団に所属する若者だ。
「女王様~」
「私の女王様~」
そう、テーブル下には二人の団員がいた、足を組んだ帽子屋の靴を二人でおいしそ~にべろべろべろべろ、べろべろべろべろ。
さて、そんなお茶会の最中に聞こえてきたるは。
リズミカルに地を駆ける馬の蹄の音色。
お菓子をもぐもぐしていた帽子屋はにんまり笑う。
「あらら、貴方がたのボスがいらしたみたいですよぉ?」
「「えええええッ!!」」
団員二名がテーブル下でごつんごつん頭をぶつけて慌てていたら、あっという間に、蹄の音色はお茶会に到着。
ブルブル鼻息を噴く白馬に乗るは、スーツと戦闘服がごっちゃになったようなデーハー装束を難なく着こなした長身の男。
騎士団長の印であるスペードのAが腕章に描かれている。
「アリス討伐のため結成された特別部隊の者を訓練のため召集したところ二名欠けていたのだが」
品のいいホワイトブロンドに猛禽類さながらの鋭い眼差しをした騎士団長。
女王に忠誠を誓い、彼女のためなら一睡もせずに延々と敵を蹴散らす真摯なる殺戮者。
彼ならばきっと寝ていても戦えると称賛の意味を込めて周囲からはスリープウォーカーと呼ばれている。
「そのテーブル下に隠れている男二人」
テーブルががたりと揺れた。
「どうも欠けている二名のようだが」
「さすがですねぇ、団長殿?」
まだお菓子をもぐもぐ中の帽子屋、畏怖することなく、あっけらかんと破顔した。
「かくれんぼしてたんですよねぇ、見つからないからお菓子を食べて休憩してたのです、お二人とも、私のお遊びに付き合って下さってどうも、どうもなのです、さぁ、どうぞ訓練に戻られて下さいねぇ」
帽子屋がテーブルクロスを持ち上げると、特別部隊においても秀でた戦闘能力を有する団員二人、大慌てでスリープウォーカーに一礼し、これまた一目散に城の方角へと走り去っていった。
「貴重な人員を下らないお遊びに付き合わせてしまってスミマセン、団長殿?」
いつになくつやつや照り輝くヒールローファーをどっかとテーブルに乗っけ、下手したら転倒しそうなくらいのレベルにまでイスをぐらりと傾かせ、帽子屋はひらひらと手を振った。
完全、ナメている。
「…………」
そんな帽子屋の態度を咎めるでも律するでもなく、スリープウォーカー、冷めた無表情のまま馬の手綱をとり、華麗にお茶会から去って行った。
「ふふふ、ほんっとぉ、あの人ったら真面目人間、女王様々ですねぇ」
やっとお菓子を食べ終えた帽子屋、げふっと一息つき、なんとも危うい姿勢で器用にシエスタ開始。
森はあっという間に暮れる。
蠢き始める夜の森。
夜行性の怪物どもが彷徨し、咆哮し、闇の芳香に踊らされる。
「あらら、もうこんな夜ですかぁ」
さて、シエスタからやっと目覚めた帽子屋はおうちに帰る。
これまたズタボロのオンボロ屋敷だ。
這いずり蠢く大蛇を跨ぎ、群れる毒蜘蛛をひょいっと飛び越え、赤いペンキで雑に塗られたドアの取っ手を握る。
キィィィィ
ドアを開いた瞬間。
誰もいないはずの室内に満ちる闇から伸びてきた手に引き摺り込まれた。
床に落ちるシルクハットと色眼鏡。
前下がりの激ストレート髪がさらりと靡く。
蒼白な喉元にぴたりと宛がわれた慈悲なきダガー。
「ふふふ、こーんな一興、嫌いじゃないですよぉ?」
油断しまくり、隙だらけの帽子屋かと思いきや、とんでもない。
彼もまた袖口に仕込んでいた果物ナイフを不法侵入者の首筋にさり気なく寄り添わせていた。
「団員を咥え込んでアリス討伐の邪魔をするな、帽子屋」
日中のデーハ―装束とはまるで違う、質素な服上に地味な外套を頭からすっぽり被っていたスリープウォーカーはにんまり笑う帽子屋に忠告する。
「不届きなる侵入者の件でお前への刑執行が延期されているが、今すぐ、この俺自ら執り行ってもいい」
猛禽さながらの鋭い眼差しを至近距離で浴びた帽子屋は。
スリープウォーカーに突きつけていた果物ナイフを未練なく手放した。
「どーぞ」
「…………」
「覆面の執行人にバッサリやられるよりかは貴方に殺されたほーがマシです」
すると。
スリープウォーカーもダガーを無造作に床へ放り投げるなり。
刃による執行ではなく、唇による制裁を、帽子屋の艶唇へ。
二人は断じて恋仲じゃあない。
「んっんっ……ん」
スリープウォーカーは女王一筋だし。
「今日も奥まで犯してくださいねぇ、団長殿?」
帽子屋はいかれているし。
「貴方のスゴイの、私、大好きなんです、ふふふ」
これは単なる積もるに積もった性的欲求解消野蛮行為。
「……、あッ!」
漆喰の壁に両手を突かされた帽子屋はひんやり双眸をたちまちじわり濡らした。
唾液を雑に馴染ませただけの、スリープウォーカーの屈強な熱源が肉孔を無慈悲に貫いてきたのだ。
下着とスラックスはヒールローファーに引っ掛かり、ガーターストッキングに包まれた太腿やふくらはぎが外気に曝け出されている。
ひどく滑らかな尻たぶの狭間で極小なはずの後孔に怒張しきった肉棒が深々と突き立てられている様は、とても、卑猥で。
凶暴な熱に漲る肉棒が前後に動き出すと卑猥さはさらに高まった。
「擦って……ッ奥までたっぷり擦って……? 貴方のでいっぱいになりたいです……」
滑らかな尻を鷲掴みにされて革手袋の五指が痛いくらい肌に食い込む。
なーんの言葉もなしにただひたすら凶器紛いの肉棒が尻奥に何度も何度も打ちつけられる。
「……あん……」
帽子屋は愛しげに壁に頬ずりした。
敵には躊躇なく死を刻むスリープウォーカーの凶行と思しき獣的交わりにうっとり酔い痴れる。
自分からも背後に腰を突き出して後ろからの猛攻を堪能する。
これが狂気の女王に仕え、身を捧げる下僕の、鬱憤。
愛しい人に愛されない哀れな男の断末魔。
「ちょぉだい……? 貴方の熱いの……私の奥に、早く……早くぅ……あッあッあッ……あッそぉッ、そこぉ……きて、ぶちまけて……あぁぁぁーー……ッッ、ッあ……」
肉奥を抉られて蹂躙された末、どぷりと、生まれ立ての子種に体底を支配される感覚。
容赦なく噛みつかれた首筋に溜まりゆく仄かな痛み。
「……ふふふ……あーあぁ……」
私の胎で絶滅しちゃえ。
帽子屋の壊れそうなベッドが全壊しそうなくらい派手に軋む。
「あ……あん……はぁぁ……ふふふ……はぁ……」
互いにほぼ全裸になった帽子屋とスリープウォーカー。
鍛え上げられた腹筋に両手を突いた、シルクハットとガーターストッキングだけを身につけた帽子屋、硬く聳え立つ肉棒を体内限界まで招き、器用に腰を揺らめかせる。
彼の熱源も隆々と反り返り、先走りに淡く濡れ、スリープウォーカーの下腹にまでねっとり滴っていた。
そんな自身の蜜雫を左の指に掬い、胸の突端に満遍なく馴染ませ、帽子屋は自己愛撫をヤラシク始める。
剥き出しのスプリングに仰向けになったスリープウォーカーは動き出すことなく淫らな帽子屋をただ見上げていた。
すでに奥で射精されていた子種汁が結合部でふんだんに泡立ち、二人の下肢をあからさまに湿らせていた。
肉膜の狭間で巧みにしごいてやれば新たな蜜汁でより濡れ渡る最奥。
「……いきそぉです……」
上唇を舐め上げた帽子屋、自身の肉棒はしごかずに、尻奥に刻まれる快楽刺激で達しようと、もっと小刻みに過剰に腰をくねらせた。
自分のイイところにひたすら集中して擦り当てる。
真摯な殺戮者に我が物顔で跨って、快楽に忠実に、不純な獣のように交尾に溺れた。
「ああああ……ほんっとぉ……いきますねぇ、私ぃ……ッあああああーー……ビリビリ、しちゃ、ぅ……あははぁ……ぁッん……ッ……ああッ……だめ……ッ……ッッッ!!」
スリープウォーカーの真上で帽子屋はぴたりと律動を止めた。
痛いくらい仰け反った状態で、背筋をぞくぞく痙攣させ、下あごに一筋の唾液をつぅぅ……と溢れさせる。
虚空に反り立った彼の熱源からびゅくりと放たれた白濁。
スリープウォーカーの汗ばむ胸板や腹に糸を引いて飛び散る。
「あ……ん……いっちゃいましたぁ……あーあ……」
転がり落ちたシルクハットもそのままに快楽絶頂にどっぷり身を委ねていたら。
スリープウォーカーが矢庭に上体を起こした。
まだ呼吸の落ち着いていない帽子屋を押し倒すなり、ストッキングでざらつく両足を頼もしい肩に担ぎ、緻密な収縮を繰り返す肉孔を再び突き始めた。
達したばかりの帽子屋の体は先ほどよりも酷なスリープウォーカーの突き上げに多感に応える。
食むように蕩かすようにその肉で熱源を抱き込み、強請るように搾るように締めつける。
帽子屋は喘ぎながら物欲しげに表情を変えないスリープウォーカーを見つめた。
もっと犯してと笑いながら鳴くように媚びて真摯な殺戮者の子種を欲しがった。
獣が及ぶ交尾の体位で幾度となく重く深く肉底を突かれまくると泣くように鳴いた。
さぁ、また食い尽くしてあげる。
貴方の鬱憤も断末魔も一つ残らず。
貴方の種も全てここで刈り取ってあげる。
朝、束の間の眠りから覚めればスリープウォーカーはいつも通り姿を消していた。
「ふわぁ……シャワーを浴びて寝直しましょうかね」
シルクハットをかぶって伝線したガーターストッキング姿で帽子屋は浴室に向かう。
「おや」
珍しい、あの人が忘れ物だなんて。
ドアの前、床に突き立てられたままになっていたダガーを瞬時に引っこ抜いた帽子屋はまじまじと殺傷能力豊かな刃を見つめた。
もらっちゃいましょお、これ。
もしもの時は、あの人へのあてつけとして、これで首切って死にましょう。
「おや?」
あら、私のナイフはどこへ消えたのかしらん。
眩しい朝陽の差す森の中を一人突き進むスリープウォーカー。
その懐には、自分が手中にする武器の中で最も貧弱な果物ナイフが収められていた。
もしも死神にいざなわれるときが来るのであれば。
アイツへの嫌がらせとしてこのちっぽけな刃で命を絶とう。
二人は恋仲よりも深い不快な不可解関係。
end
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