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続・raspberryな恋人/大学生×チャラリーマン
■この話は97~104話「raspberryな恋人」の続編になります
まさかこの場で聞くとは思っていなかった声に阿久津藤耶 は珍しく凍りついた。
「あれ~、あっくん?」
大学の友人に切羽詰まった顔で真剣に頼み込まれて人数合わせのため参加した合コンのある居酒屋で、まさか、恋人の升野智弘 と鉢合わせるなんて。
会社帰り、スーツの上着を脱いでワイシャツの第一ボタンを開け、ネクタイをだらしなく緩めた彼は男子列の端っこに座っていた藤耶に笑いかける。
「もしかしてもしかしてだけど、合コン?」
「……はい」
「わ~! 楽しそ~!」
俺も参加しようっと。
ほろ酔い状態の智弘、呆気にとられている他の面子などお構いなしに、藤耶の隣に無理矢理腰を下ろしてきた。
……まさかこんなことになるとは。
四対四の合コン参加が決まったのは今日の午前中だった。
平日で、バイトがなく、智弘と会う予定もなかった藤耶は友人に頼み込まれて「仕方ない」という気持ちでOKした。
智弘に知らせようかどうしようか迷った。
そして、いちいち知らせることでもないかと、メールアプリの画面を閉じた。
今はそのことが無性に悔やまれる。
「へぇ~英文科? じゃあ英語ぺらぺらなの? はうあ~ゆ~?」
突然の参加者に最初は驚いていた女子であったが、年上らしからぬ砕けた雰囲気、見た目よしの智弘にすぐに打ち解けた。
持ち前の明るさで智弘は正面の女子二人をずっと笑わせている。
一方、藤耶はと言うと。
俯いてばかりだ。
酒も飲まず、食事もせず、会話に全く入ってこない。
普段、口数こそ少ないがこうも極端な態度をとることなど、ない。
「あっくん、具合悪いの?」
智弘と話をしていた女子の一人が首を傾げて尋ねてきた。
無言でいる藤耶の代わりに智弘がすかさず答える。
「奴はね、シャイだから! かわいい子とお話するの、慣れてないの」
きゃはははは、と盛り上がる女子と智弘。
藤耶は何も言い返せない。
注意深く観察してみれば、藤耶は、微かに震えていた。
それもそのはず、彼は今、無断で合コンに参加したことに対する制裁を智弘から食らっている最中だったのだ。
「あっくんは口下手だしね~」
女の子に喋りかけながら、智弘は、藤耶の股間を痴漢さながらに触りまくっていた。
ジーンズ越しに強めにぐりぐりペニスを揉んでくる。
掌をスライドさせて執拗に撫で擦ってくる。
「……っ」
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