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続・raspberryな恋人-6

智弘はネクタイも靴下も腕時計も身につけたままベッドの上に上がってきた。 藤耶の体温で温もった布団と毛布の下に凍えていた体を忍び込ませ、藤耶の背中に抱きついてくる。 肩甲骨の辺りに頬をぴたりとくっつけてくる。 「うはぁ、あったか~い。ごろごろごろ」 「…………」 「くんくん、あっくんのにおい、すーはーすーはー」 年下の恋人の匂いを満喫しながら、智弘は、かじかんだ両手を藤耶の正面に回して。 スウェットを捲って腹を直接撫でてきた。 「…………!」 掌の冷たさに思わず身震いしてしまった藤耶。 智弘はまるでお構いなしに人肌で暖をとりつつ、露出されたうなじに向かって囁く。 「まだ起きにゃいの?」 「…………」 「あっくん、怒っちゃや~よ?」 升野さんは社会人だ。 親からの仕送りで生活している学生の俺と違って、フルに働いて、自立している。 仕事の付き合い、もちろん大事だろう、それはわかっている。 ……だけど「こにゃにゃちは」はないでしょう。 「起きないんならイタズラしちゃお」 むにゅっ 「…………!!」 股間を揉まれた藤耶、びくっと、肩を揺らしてしまった。 目の前のうなじにキスをし、小まめに肌を舐め、智弘は股間に宛がった手をゆっくり動かす。 「もっとイタズラしちゃおっと」 やっとネクタイを外してベッド下へ放り投げた智弘、もぞもぞと、頭から毛布下に潜り込んで薄暗がりの中を進んでいくと。 なんとも不埒なイタズラに及んだ。 「……!!!!」 生温い口内の感触に包まれて思わず呻吟しそうになり、藤耶は慌てて唇をぎゅっと噛み締める。 薄目がちに見てみれば智弘の両足がお行儀悪く布団から突き出されていた。 盛り上がった布団の一部が微妙に上下に揺れている。 くちゅくちゅと聞こえてくる規則的な水音。 湿った喉奥の緩やかな締めつけが堪らない。 「……っ……」 智弘は藤耶を深々と頬張った状態のまま布団の中でスラックスとぱんつを素早く脱いだ。 またベッド下へぽいぽい放り投げると、体の向きを変え、口元がはしたなく濡れた顔を布団下からもぞもぞ覗かせた。 根元から先端まで濡らして硬くした熱源を自身の双丘の狭間まで導くと。 利き手でその向きを調整し、腰を落とし、後孔にまで招く……。 ぐちゅぐちゅ………… 「は……ぁん……」 口淫とはまた違う、きつい孔の滾った抱擁。 智弘は色っぽいため息をこぼし、藤耶はさらに唇を噛む。 ぎし……ぎし……ぎし…… 「ん……あっくん……寝てるあっくん……おかしちゃった……んん……は……ぁ」 眉根を寄せる藤耶の口角に唇を押し当てて緩々と舐め回す。 浅いストロークで熱源の括れから中ほどまで、抜き差しを繰り返す。 「んんぅ……夜這い、コーフンする、かも……くせ、ン、なりそ……」 我慢できなかった。 真上に覆いかぶさる智弘の腰を掴むなり、藤耶は、真下から突き上げた。 一気に根元まで肉の内側に呑み込ませる。 「あん……!」 「は……升野さ、ん……っ」 「……あ……やっと起きたぁ……あっくん……」 気づいてたくせに。 起きてることも、怒ってることにも。 俺が許すことも。 「……ズル過ぎます、升野さん」 藤耶はぐるんと智弘と位置を変わった。 仰向けにした智弘の傍らに両手を突いて、ぎしぎしぎしぎし、ベッドを鳴らす。 「やっ、これ……奥、すごぃ……ッ」 智弘はもどかしげに身を捩って喉を反らした。 ぴくぴく、喉仏が痙攣する。 しっとり汗ばんだ肌が薄闇に淡く光る。 「あ……だめ……っ、早いよ……あっくん……!」 さっさといっちゃえばいい。 そして、またすぐに、いかせてあげるから。 「こにゃにゃちは~」 二人で飲んだ帰り、酔っ払った智弘が道端にいた野良猫に話しかけるのを見て、藤耶は思うのだ。 俺以外の人(?)にも「こにゃにゃちは」って言うんだ、升野さん。 ……ちょっと嫌だな。 ……俺だけに使ってほしい。 「升野さん、こにゃにゃちは、は、俺だけのものにしてください」 「え~? はい~?」 「ほら、冷えるから早く帰りましょう」 道端で毛づくろいする野良猫にも嫉妬する藤耶なのだった。 end

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