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トモ活しちゃう?-2
「ほんと最悪、ゆっきー信じらんない、もうキライ」
期末テスト終了クリスマス目前記念日は、二人目のカノジョと別れた記念日に変更になった。
「確かに最悪……」
しんどかった二時間休憩を経て凛空はとぼとぼ帰宅した。
「にーちゃん、おふろは?」
風呂上がりでポカポカしている中学生の弟に「最後に入る」と告げ、二階の部屋で一人きりになって、反省した。
「俺ってだめだなー……」
中学時代に付き合っていた彼女とは高校進学と共に自然消滅を迎えた。
前も、先程別れたばかりの彼女も、向こうから凛空に告白してきた。
断って傷ついたら可哀想だと思った凛空は二人とお付き合いし、結果、どちらとも長続きしなかった。
で、今回の別れた理由というのが。
「ぜんっぜん集中できなかったー……」
勃たなかった、のだ。
おにゅーのおめかしランジェリーでウキウキ気分だった彼女を不本意ながらもバッサリ裏切ってしまったわけである。
で、どうして集中できずに勃たなかったのかというと。
「樫井に悪いことしちゃったな、ラブホだってこと忘れて飛びついちゃったりして、何してんのって……あほか……あほあほ……あほあほあほあほ……」
無愛想なクラスメートのことが頭から離れず初ラブホを満喫するどころではなかった、のだ。
「てか樫井もカノジョとかいたんだ、なんか意外……カノジョ相手だとフツーに話すのかな……うぇ、変なの……想像できん……」
ネイビーのショートジャケットを脱ぐのもさぼって、暖房器具も点けないで、回転イスに腰かけた凛空は筆記用具がちらばるデスクにうつ伏せになった。
みぃちゃん言ってた通り、すっごく年上の人だった。
きれーな茶色に染まったストレートのロング。
コートもバッグも靴も、ぜーんぶブランドものだって、みぃちゃん言ってた、ぱっと見で、なんでわかるんだろ、みぃちゃんまじすごい。
どうやって知り合ったんだろ。
教室では無口な樫井、カノジョとは、どんなこと話すんだろ。
笑ったりするのかな。
樫井の笑顔とか想像つかない。
変なの。
……どんなえっちするんだろ……?
自分より背が高くて無愛想、でも好きなようにじゃれつかせてくれるクラスメート。
ラブホでばったり遭遇したことで、凛空は、これまで抱いたこともなかった性的関心を樫井に抱いた。
カノジョ、ぶっちゃけ、雰囲気えろかったっていうか。
おっぱい、おっきかった、うん。
樫井、あーいう人がタイプなんだ。
つまり、樫井も、けっこうえろい……と。
樫井って、俺より身長あるし、で、でかい……かな?
無愛想で女子にもそんな優しくないけど、実は経験豊富……だったり?
……どんなえっちするんだろ……。
俺だとついついすっ飛ばしちゃう前戯ってやつ、ちゃんとするのかな。
あのおっぱい、すっごい揉みまくったり。
すっごい、どえろいちゅー、して。
激しく動いて、一番奥まで挿入 れて、ゆっさゆっさして、何度も出したり挿入れたり……。
「……」
どうしよ。
今、勃っちゃった、俺。
樫井とカノジョのえっち想像して勃つって。
なんだそれ。
これなんだ。
変態か!!!!
「……」
ひんやり冷たいデスクに片頬をくっつけた凛空は半開きの目でぼんやり虚空を見つめた。
ティッシュケースがそばにあるのを確認し、もぞもぞ、下肢に両手を伸ばす。
カーキのカーゴパンツのファスナーをジィ……と開いてボクサーパンツをずり下ろす。
「う」
取り出した発熱しかけのペニスを撫でた。
初ラブホのベッド上では恐ろしく静まり返っていた下半身の昂ぶりに、心臓が、ブルリと打ち震えた。
「う、ぅ」
天井の照明に浮かび上がる、弟の部屋よりは片づけられている兄の部屋に小さな声が紡がれる。
どんな体位で?
後ろから?
向かい合って?
もしかして、今頃、ちょうど盛り上がってる最中なんじゃ……。
「う、う、ぅ」
凛空はぎゅっと目を閉じた。
無愛想なクラスメート、ろくに顔も見えなかった年上と思しきカノジョ、性的にじゃれ合う二人を妄想するのに夢中になった。
テスト勉強でもなかなか発揮されない、やたら研ぎ澄まされた集中力で。
「うーーーー……」
カウパーでじわりと湿った先っぽを掌で包み込み、羞恥心も罪悪感もかなぐり捨て、コスコスしまくった。
本能まっしぐらな動物みたいに律動する樫井の後ろ姿を脳裏に描いて、ひたすら、シコッた。
「う゛」
もどかしげに波打っていた凛空の背中がぴたりと停止した。
一気に生温く濡れた掌。
しぶとくビクつく本能の余韻。
「ふ、ぅ、ぅ……」
デスクにぽたりとよだれを零した凛空はゆっくり目を開く。
樫井でヌくなんて俺の頭と体どーかしてる。
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