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トモ活しちゃう?-7

「初めてのイブ合コン、楽しめたらと思いマスっっ」 イブ合コンに参加しておきながら最近同じクラスの男とすけべなコトしまくってる男子高校生、です。 カラオケで開かれた合コンの自己紹介にて、凛空は、心の中でそう付け足した。 「ねぇ、端っこの……その人は自己紹介ないの?」 「あ、えーと、おいゆっきーッ、お前が呼んだんだろーがッ」 「あ! 代理で自己紹介しますっ、樫井ですっ、ちょっと人より口ベタで愛想ない系です!」 ソファの端っこで堂々と無愛想っぷりをかましておきながら同じクラスの男、ていうか俺とすけべなことしまくってるムッツリ、です。 立ち上がるどころか口を開く気配も見せなかった樫井を横目に、凛空は、再び心の中でそう付け足した。 友達が言っていた通り、凛空は樫井を強引に誘って合コンへやってきた。 好意を抱いている無愛想男子を何故合コンへ誘ったのか。 わざわざ彼の参加料まで出して……。 「あの人怖くない?」 「なんで来てんだろ」 一言も口を聞いていない同級生を訝しがる女子高の生徒ら、場を盛り下げる無愛想男子を煙たがる顔見知りの男子ら、慌てた凛空はマイクを掴む。 「俺歌いマス! みんな手拍子お願いしマス!」 実際、あの放課後から本日のクリスマスイブまで、凛空と樫井はすけべなことをシまくっていた。 『あ、あ、樫井ぃ……っ』 『お前ほんとうるさい、誰かに見つかりたいのか、盗み見されると興奮するのか』 『ち、ちが……ぅぅ……っふぅぅぅぅ……っ』 昼休みや放課後、狭苦しいトイレでこっそり。 『え、おねーさんは? おとーさんとか帰ってくるんじゃ……』 週末はシングルファザーの家庭である樫井の自宅マンションにメールで呼び出されたり。 『姉はウチを出てるしオヤジは休日出勤でろくにいない』 樫井の匂いが刻みつけられたベッドで樫井にのしかかられただけで凛空の下半身はすっかり発情していた。 『勃ってる』 服越しに熱もつ股間を撫でられると素直にペニスを硬くした。 『あ……もっと……』 『もっと、なに』 『……』 意地悪に問いかけられて押し黙れば、樫井が真上から退こうとしたので、咄嗟に呼び止めた。 『樫井っ』 『なに』 『……って……』 『聞こえない』 『っ……さわって……』 『お前の勃ってるペニスにさわれって?』 普段通り手つかず黒髪の、制服じゃない、モノトーンのインナーを着た樫井に。 服越しにしっかり愛撫されると凛空の腰は勝手に跳ねた。 『ん……っ……もっと』 一度欲望を吐露してしまえば後は次から次に溢れ出た。 『直に、が、い……俺の勃起したチンコ……いっぱい、さわって……樫井の手できもちよくなりたい……』 色褪せた冬の日差しが遮光カーテンの隙間に滲む薄暗い部屋で、下半身に従順になって、樫井に縋りついた。 『よくできました』 「次、誰歌うっ? 歌わないなら俺また歌っちゃうよっ?」 一生懸命場を盛り上げつつ、ソファの端っこで退屈そうにしている樫井を何度もチラ見して、凛空は思う。 樫井、ママ活、やめたのかな。 ちゃんと聞いたことないし、自分から言わないけど、放課後も土日もしょっちゅう俺と会ってるし、やめた……かな? すけべなこと三昧で樫井が今どういう気持ちでいるのか全然わからない。 からかい半分? 出来心とか? 俺は……好き……だな、うん。 樫井は、俺とのこと、どう思ってるのかな。 『ゆっきーさ、カノジョと別れたんならイブの日合コンしない?』 クリスマスとか、そーいうイベント、興味なさそうだと思って。 でも俺は樫井と一緒に過ごしてみたくて。 『そ、それなら樫井もっ、樫井も呼ぼっ』 なんか違う気もするけど。 普通に一緒いたいって誘って、断られたら、俺、地獄の冬休み過ごすしかないじゃん……? ガチでママ活ならぬトモ活対象で、今はツケにしてもらってるお金目的だって改まって聞かされたら、年越せないじゃん……? まぁ、二人っきりじゃないけど、これはこれで…… 「わたしキライじゃないかも、かしーくん、合コンでは会えないタイプで興味ある」 ……えぇぇぇえ。

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