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天使にチョコレートを-2

スタバで新商品をご馳走するだけに留まらず、店を出てからも纏わりつかれて自宅にまで上がり込まれたヘタレリーマン、どうしようと考えながらも一先ず風呂に入って上がってみれば。 「ん……」 コタツでポカポカぬくもって寝かかっていたゴロツキ男子児童。 その背中には……先程までなかった真っ白な可愛らしい小さな翼がピコピコ揺れていて。 「!!??」 「ん……? あ、羽出ちまってた……チェッ」 「そそそ、それ、は、一体全体、何でしょうかッッ……!?」 「何って、オレの羽に決まってんだろーが、童貞リーマンが」 「ひッなんでッ知ってッ」 「あーー……オレな、パピコ、見習い天使、天上界切ってのシゴキ寮から逃げ出してきました、夜露死苦」 冷えた緑茶を湯呑みからズズッと啜って、天使のパピコは、驚きの余り一気に湯冷めした真太郎にニヤリと笑いかけた。 「そーいうワケでしばらく世話ンなるな、童貞リーマン?」 「童貞リーマン言うなッ、俺の名前は間山真太郎ッ、ていうか帰ってください!」 「ふわぁ……やっぱコタツ最高だわ……ここで寝かせてもらうな、おやすみ~」 「がえっでくださぃ゛ッ!!」 そんなこんなで始まった無理矢理共同生活。 「回ってないお寿司が食べたいな~」 「給料日前に贅沢言わないでください!」 「各コンビニの新商品スイーツ買ってこい、童貞リーマン」 「だから間山真太郎ッッ!!」 ソッチの趣味がある人間ならばヨダレものな見目麗しいショタ天使のパピコにこき使われる羽目になった真太郎。 心根が優しく、というかヘタレで、なんだかんだ言いつつもほっぽっておけない、というか奴隷気質な二十代半ばのリーマンは。 「とりあえず近所にあるコンビニの分だけ買ってきたぞ」 わがままパピコの欲求をほぼほぼ叶えてやっていた。 「はぁ、疲れた……ただいま~」 「で、今日のおみやは?」 「ギリギリ滑り込んで何とか買えました、デパ地下の期間限定地方物産展の餃子弁当」 「童貞リーマン、イイコイイコしてやろーか」 「きぃぃ~……ッ」 まさか天使が本当に存在しているなんて。 そんなロマンチックな思考は現物のムチャクチャぶりに浮上する余地もなかった。 平日はおみやげなるテイクアウトを強請られて。 週末は雑誌やテレビで見た有名店やら新しいお店に連れていけと強請られて。 「おかわり」 「ぶッ……極みカツ丼はおかわりするもんじゃないッ、一杯で噛み締めてください!」 トホホながらも、時々、思うのだ。 「見て、あのコ、すごくない?」 「夜なのに眩しい、後光が差してる系?」 「ほぼほぼ神……尊い……」 行く先々で多くの人間から惚れ惚れされているパピコを隣にして真太郎は首を傾げる。 なんでパピコは俺に声をかけてきたんだろう。 もしかして実はコイツ俺に一目惚れしたとか? 「は? お前が一番ヘタレっぽくて何でも言うコト聞きそうなお手軽奴隷に見えたからに決まってンだろ?」 フンっだ!!!!

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