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それでも添い遂げ心中-2

高校生になった二人はいつの間にやらスルスル大きくなって苑田は身長178センチに、椛島は174になった。 見た目は悪くない、むしろ眉目秀麗な顔立ちでスタイルもよく外見は抜群に優れている、が、如何せん中身がアレな苑田は一向に異性の気配ナシだった。 東欧の血を継ぐクォーターの父親は大都市を主要にしてリゾートホテルを展開している運営会社の社長、お家は金持ちなのにパソコン持たず、携帯持たず、テレビも全く見ない。 お買い物もしない。 私服に制服を着る。 パジャマは基本着ない、素っ裸で就寝する。 「ぎゃー! 変態がいる! 変態がいる!」 修学旅行では女子のみならず男子にまで悲鳴を上げられる始末だった。 そんな変人苑んちゅとの比較もあって、常識人、嫌味のないストイックさと秀でた素材を持つ椛島。 真摯で優秀な余り、こんな私と椛島くんじゃ釣り合わない……と、女子は一線を引いて意外にも浮いた話はなく。 十七歳、高校二年生、一人の女子が思い切って椛島に告白した。 「全然知らないコで。ずっと見てたんだって」 昼休みの教室。 告白されたことを苑田に報告している椛島。 必死で耳をそばだてるクラスメート達。 椛島にひっつき虫なあの苑んちゅのことだ、きっと猛反対、告白しやがったのはどこのどいつだ、なんて怒り狂うかと思いきや。 「付き合ってもいいんじゃないのか」 「え!?」 「うそ!」 「ぶはぁッ!」 「マジか」 まさかの苑田の回答にクラスメートの面々は驚きを隠せなかった。 当の苑田は椛島お手製の牛肉ソテー入り玉子サンドイッチを食べながら続ける。 「お前が誰と付き合おうと、僕とお前の関係は常にその上をいく、男女の仲、家族愛、僕とお前の繋がりはそんなレベルのものには脅かされない、宇宙レベルの絆だ、だから許してやる」 「えらそーにッ」 「帰れッ」 「一生童貞ッ」 椛島のタオルハンカチで口元をフキフキする苑田に椛島は……正直、椛島自身もびっくりしていた。 「……うん。考えてみる」 そう答えて、フキフキしていたくせに苑田の頬につきっぱなしのパン屑をとってやった。 ホテルのレストランのコック長をしている椛島の父親は帰りが遅く、泊りがけの日もあり、そんな時、椛島は苑田をお泊まりに誘う。 もちろん喜んで椛島のマンション宅へやってくる苑田。 高校生が買うもんじゃない高級肉やら海鮮やら買ってきては椛島に調理してもらい、贅沢な夕食をいっしょに楽しむ。 「すごい美味い、この肉」 「ただの肉塊に対するお前の手間暇というやつが完璧だったからだ」 苑田には夢がある。 椛島のための夢だ。 自分がオーナーになって、料理人として椛島を雇い、店を開くことだった。 「お前の料理をそんじょそこらの通行人に食べられるのは不本意だが致し方ない」 ナイフとフォークで器用に切り分けた肉をパクパクする苑田に椛島は嬉しそうに笑った。

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