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リバって愛して-7
■もしも何らかのアクシデントで阿南が入院したら
「おい、緒方……」
「しーーー。個室だからって気ぃ抜くんじゃねーよ、阿南」
白いベッドに横になった阿南。
布団は膝まで捲られて、入院用に購入したばかりのパジャマのズボンはずり下ろされていて。
「気を抜いてないから……心配してる、いつ誰が来るか」
「佐藤や三里が来るかも、か?」
「ッ……緒方……」
片足首の靭帯損傷、ギプスで固定している阿南はぎこちなく手を伸ばした。
ベッド脇に置かれたイスから腰を浮かせて前のめりとなり、股間に顔を埋めている緒方の髪に触れた。
「……普通、こんなときに盛るか?」
阿南のペニスに口づけていた緒方は同級生であり恋人でもある彼をジロリと睨んだ。
「お前に言われたくねぇよ、お前こそ四六時中盛ってたじゃねぇか」
「俺は……相手が弱ってるときに、こんなこと、ッ」
れろり、頂きを舐め上げられて引き攣った阿南のこめかみ。
緒方はさらに欲深く頬張る。
華奢からは程遠いしっかりした骨組みの手で、口では拒みながらもすっかり反応を示している性器の根を握り、緩々としごいた。
「ッ……」
「入院生活で溜まってんだろ、楽にしてやるよ」
「ッ……咥えながら、喋る、な」
「……けっこーかわいーよな」
「……は?」
「ここのナース。擦れ違った全員、割と、そこそこ、まーまーだった」
「よく……わからない、そうだったか?」
緒方はまたジロリと阿南を睨んだ。
カリ、とぬるぬるしてきた先端に歯を立てた。
「ッ、緒方……噛みつくな……」
このバカ、腹立つ、クソ。
「……緒方?」
阿南は目を見張らせた。
下肢の制服を忌々しげに脱ぎ捨てるなり、ベッドにギシリ、自分に覆い被さってきた緒方に呆気にとられた。
「やるぞ、阿南」
「……お前、俺を再起不能にするつもりか」
「は? そこまで鬼畜じゃねぇし?」
その位置にすたんばった緒方に阿南はまた驚かされた。
「動けねぇお前の性処理係になってやるよ、有難く思えよ、阿南」
こんな体位好きじゃねぇ。
自分が女側になるのを好き好んで肯定してるみたいでイライラする。
ただ。
もしものことを考えると。
無視できない不安がある。
自己処理できない体なワケじゃねぇけど。
コイツは病院でそーいうことシなさそうだし。
そんで溜まってく一方で。
コイツ、見た目悪くねぇし、体つきいいし。
ふとしたタイミングでつい催して、もしも、その場に偶然……ちょいすけべなナースがいたら。
何かあったら。
それ考えたら並大抵のイライラよりも百倍のイライラに頭をブチ抜かれて、つい、こんな。
「は……ッあ……ッ」
そういやコイツに跨るとか初めてじゃねぇか?
「……初めて、だな……」
周囲の仕切りのカーテンもきっちり閉じた個室のベッド上、久々の繋がり、初めての体位に初めての場所、不謹慎ながらも。
ものすごく感じる。
通路から聞こえてくる話し声や院内に流れるアナウスがさらに興奮を煽る。
「そりゃ、病室で、とか、ねぇだろ……ッ」
「……お前がこんな風に俺に乗るのも」
阿南のペニスで目一杯拡げられた緒方の後孔。
初体位ながらも興奮に促されて頻りに腰を突き動かす。
グチュグチュと奥が鳴る。
コツン、コツン、最奥に当たる。
「は……ッお前の、大量に漏らしてんじゃねぇ……?」
「……お前だって」
「あッッ」
虚空でビクビク反り返っていた緒方のペニスが阿南の利き手にしごかれる。
「ぅ、ぅ……ッ勝手に触んじゃねぇ……ッ」
「お前こそ……ッ勝手に始めた……」
「も、すっかり臨戦態勢だったくせッ……あ……ッぅ……ッ!」
窮屈な後孔にものものしげに出入りする阿南のペニス。
ナカで脈打っているのが嫌でもわかる。
「勝手にビクビクしやがって……ッ!」
「ッ、お前のも、もうイキそうだ……」
「~~~ッ……ぅぅぅ……ッッ!」
緒方は歯を食いしばって可能な限り腰を揺すった。
「あ……ッもう……ッ!」
「ッ……おが、た……ッ、ッ、ッ」
ビクリ、二人の体が一段と揺れた。
そのまま、ぴたり、一瞬だけ動きが止まった。
「「はあ……ッッ」」
際立つ喉骨を波打たせて迸った喘ぎ。
緒方の奥も、阿南のパジャマも、濡れた。
「……あ、やべぇ……お前の……」
「ん……替えはある……」
「……俺ので汚れたの、おばさんに洗ってもらうのかよ」
「……」
シャッッッ!!
「あなーん、おみま、ッ、うわぁぁぁぁッッ!!??」
「あ」
シャッッッ!! バタバタバタバタッ!!
……廊下は走らないでくださーい……すみませッ……
「……おい、今の、幻覚だよな?」
「……そう願いたいが、今のはお見舞いに来てくれた佐藤と三里だ」
「……だよな」
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