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リバって愛して-8

■もしも何らかのアクシデントで緒方が入院したら 「おい……俺、そんなん頼んでねぇんですけど」 「……入院中で溜まってるだろ」 「お前と一緒にすんじゃねぇ……ッあ、クソ」 足元に跳ね除けられた、いやに糊の効いた布団。 ギプスで固定された片足は絶対安静。 ハーパンとボクサーパンツがずり下ろされるなり、虚空に勢いよく跳ねた自分自身に緒方は舌打ちした。 総合病院の個室、仕切りのカーテンで囲われたベッド傍らに立った阿南。 仮病で部活を初めてさぼってやってきたバスケ部キャプテンはボールの代わりに緒方のビクビクな(ry 「ぅ……く……ッ」 ヘッドボードに立てかけた枕に背中を寄りかからせた緒方。 自分より大きな手でしごかれて、久し振りの愛撫に腹底を滾らせ、すぐそばに寄り添う阿南に思わずしがみついた。 廊下から聞こえてくる院内の雑音が集中力を乱すどころか、逆に興奮に追い討ちをかける。 「ぅ……ぅ……ッ」 すり、と広い肩に頭を擦りつけて必死で声を堪えている緒方を阿南は見つめた。 見つめながら利き手を動かした。 発熱がみるみるピークに達しようとしているペニスを恐ろしく規則的に撫で擦った。 「ッぁ……ッ、む……ッ、ッ、ッ」 阿南も阿南で堪らなくなって緒方にキスした。 薄目がちに睨む寸前の眼差しを交差させながら二人して舌先を絡ませ合った。 「ッ……もう、でるッ」 「……緒方、ティッシュは」 「ッ……あっち、あっちのテーブルだッ、早くとってこいッ! 早くッ!」 今、猛烈に緒方から離れたくないと思った阿南は。 「ッ、おいッ、あな……ん……ッ!?」 青筋をくっきり走らせて膨れ勃っていた緒方のペニスを……唇奥に咥え込んだ。 まさかの阿南初フェラ。 愛想のない同級生の無口な唇が自分のモノを深く迎え入れている光景に背筋をゾクリと震わせ、緒方は、咄嗟にその短い髪をきつく握りしめた。 「ッは…………ッッ」 ぐっと頭を反らして喉骨を波打たせ、ギリギリ歯軋りして。 溜め込まれていた欲を阿南の口内に解放しきった。 動きが制限されている体をもどかしげに痙攣させて最後の一滴まで注ぎ込んだ。 …………ごくっっ 「ッ……うあ……マジかよ、阿南」 「……ん……飲んだ、お前の……げほ」 「ウガイしてこいよ……その……ありがとな、わざわざ」 さっとそっぽを向いた、珍しく照れている緒方の髪を綺麗な方の手でくしゃりと撫で、阿南は仕切りのカーテンを開いた。 「はい、どうぞ、ティッシュ」 「……ああ、すまない。ほら、いるだろ、緒方」 「………………ちょっと待て、今の誰だ」 「三里だ。俺と一緒に来ていた。佐藤は遅れて来る」 「…………は? 来てた? ココにか?」 「隅っこにいた。最初は二人きりがいいんじゃないかって。三里はずっと待機していた」 「…………阿南、お前なぁ、」 「あーーーーいたいた! 緒方~カレーぱんお見舞いに買ってきた、うっわッ、顔色悪ッ、ちょ、だいじょーぶ、誰か呼ぶッ? このボタン今すぐ押すッ?」 「…………カレーぱん、ありがとな、佐藤」 こいつ、やっぱよくわかんねぇわ、阿南(あと三里もな)。

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