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求愛フラストレーション-9

「ダラダラするな、中邑!!」 (やばいっ、とうとうタナカァの逆鱗に触れた!) ゴールデンウィーク後、三限目の体育の授業中だった。 授業態度がすこぶる悪い……というかヤル気ゼロ、準備運動中もほぼ棒立ち状態にあった朔也に体育教師が憤怒の形相で迫る。 「この間は授業に来なかったな、やる気あるのか!?」 「……」 「下を向くな! ちゃんと話している相手の顔を見ろ! そもそも、その髪はなんだ!? 前髪だって、そんなだらしなく伸ばして、ふざけるのも大概にしろ!」 (うわぁ、久々にガチモードで怒ってるよ……どうしようかな……) 「っ、なぁ、誰か輪ゴム持ってない?」 「ナカヤン、輪ゴムピストルじゃあ、タナカァは倒せないと思う」 「倒す必要ないからっ、誰か持ってないっ?」 「お、すげぇ。なんと俺の尻ポケットに入ってたり」 「ちょうだいっ」 クラスメートから輪ゴムをもらった幸太は。 「田中先生っ、すみません! ほらほら、朔也くん、せめて体育中は顔面クリアにしような!?」 怒れる体育教師の前で朔也の前髪を縛り上げた。 これでもかと全開になった色白のおでこ。 これまで詳細不明だった目鼻立ちも明らかに……。 「中邑ってあんな顔してたん?」 「塩顔イケメンじゃん」 「女子が知ったら騒ぐぞ」 「ナイショにしとこ」 「朔也くんっ、準備運動もちゃんとしようなっ?」 「……、……」 「ッ……頑張るって言ってます!」 体育教師がステージ前に去っていき、幸太は胸を撫で下ろした。 前髪を縛られ、デコ出し状態で無表情を保っている朔也を見上げる。 「帰りたい、なんて、タナカァに言ったら絶対ダメだからな?」 174センチの朔也は……珍しく背筋を伸ばして猫背を正すと、おもむろに幸太を見下ろした。 「……ばーか……」 (結構、頑張ったのに、ばかって言われた) でも、その後、朔也は言われた通りに準備運動およびバトミントンに励んだ。 しかも、おでこ全開のまま教室へ戻った。 「え、誰あれ……」 「いやいや、パツキン頭からして中邑くんでしょ」 「あんな顔してたの? なんかショック……いい意味で」 ざわつく女子一同に現金なものだと呆れる男子一同。 そうして四限目が終わり、昼休みになって、隣の教室から大和・真希生がやってきた。 「「……」」 (え、二人とも言葉忘れて立ち尽くしちゃうかんじ? そこまで驚く?)

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