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求愛フラストレーション-13

まだ小学校に入学したばかりのことだ。 「おねーちゃん、探しにこない」 「ここにかくれて十五分くらいかな」 「大和ぉ、一時間はたってるよぉ」 実際は十分程度だったのだが。 その日、峯家、小野塚家、仲山家は自然公園へデイキャンプに来ていた。 みんなでバーベキューを楽しんだ後、こどもたちは森の中でかくれんぼをしていたのだが。 鬼役になった真希生の姉になかなか見つけてもらえず、三人は不安になり始めていた。 「おねーちゃん、どこかで転んでケガしてたら、どうしよう」 「おれたちで探しにいこう」 「大和ぉ、鬼を探しにいくなんて変だよー」 隠れていた岩陰から移動して真希生の姉を探し始めたはいいものの。 はしゃいでいた三人は自分たちでも気づかない内に森林ゾーンの奥へ入り込んでいた。 結果、迷子になった。 「う」 「真希生、泣くな」 「大和ぉ、こわい、おばけがでる」 結果、一番怖がっていた幸太が石に躓いて派手に転び、膝小僧にケガをしてしまった。 「血がでてる、幸太、死んじゃう」 「ごめん、幸太、ごめん」 膝を擦り剥き、ショックで放心している幸太に大和と真希生は泣きべそをかいた。 (い……いたいよぉ……) もちろん幸太だって痛みと不安で泣きたくて堪らなかった、だが、ぐっと我慢した。 自分のすぐそばで、すでにグスグスしている二人を何とか励まそうとした。 「これ! これたべて!」 ポケットに入っていた個装のビスケットを頭上高くへ掲げてみせた。 「ほら、ちょうど二つにわれてる! はんぶんこして!」 「……幸太は?」 「幸太のビスケットだから、幸太が食べていい……」 「おれはいいよ! 真希生と大和がたべて!」 二人は幸太からビスケットを受け取った。 言われた通り、はんぶんこして、食べた。 「あ! みっけ!! 真希生、大和、こーた、つかまえたー!」 間もなくして真希生の姉に発見されると、ほっとした余り、誰よりもギャン泣きした幸太なのだった……。

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