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求愛フラストレーション-17
夏休み、幸太は大和・真希生と毎年見に行っている花火大会へ出かけた。
互いの家を行き来したり、近所のファストフード店でおしゃべりしたり、三人でいつも通り長期休暇を楽しんだ。
朔也とは。
単身で家にお邪魔したり、夕暮れの公園で小春も交えて花火をしたりした。
二学期が始まってそのことを幼馴染み二人に伝えてみれば。
『……知らなかった』
真希生はどえらいショックを受けたのだ。
「どうして俺も誘ってくれなかったの」
「だって……」
(お前は朔也くんのこと嫌いだろ?)
「俺は何でも幸太に教えてるのに」
「真希生。お前、ほんとどうしちゃったんだ?」
「……」
「何かあったのか?」
幸太の頬を両手で挟み込んだまま、真希生は奥二重の目をしばし無言で見つめた。
「何もないよ」
今までと同じ優しげな微笑を浮かべる。
幼馴染みのほっぺたから優婉 な手をやっと退かした。
「俺ね、中邑くんのこと嫌いなわけじゃないんだよ」
(どきっ)
「ただ、幸太と同じクラスで、幸太に構ってもらえて羨ましいだけ」
普段は有り余る優しさで周囲と接している真希生の、こどもじみた感情。
幸太は呆気にとられた。
「俺も猫飼おうかな」
「は?」
「そうすれば、幸太、毎日遊びにきてくれるよね?」
「そっ……そんな変な動機で飼おうとするなっ、断固反対っ」
「ふふ、冗談だから……あ」
幼少から付き合いのある幸太でもはっとするくらい、真希生は、蕾が開花するように朗らかに笑んでみせた。
「俺、いいこと思いついたよ、幸太」
「い……いいこと……?」
「うそでしょ」
「ヤバヤバのヤバ」
「尊死……っ」
「むりすぎっ、言語力が追いつかない!」
学園祭当日。
真希生の仮装姿に女子はざわつかずにはいられなかった。
「幸太、どう? 似合う?」
わざわざ自分のクラスまで見せにやってきた真希生に幸太は棒立ちになる。
(ね……ねこみみ……)
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