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君は幼馴染み-2

「――うそつき」 五分ほどしてやっと解放された幸太は涙目で大和を睨んだ。 「ごめん」 「うそつき! 悪いって思ってないだろ! 最初からするつもりだったろ!」 「ああ」 「むかつく!」 まだ腰を抱かれていて、両腕の輪からジタバタ抜け出そうとしたら、より強引に大和に抱き寄せられた。 「部活中、お前とずっとこーいうことしたくて堪らなかった」 真剣な眼差しでスケベなことを言われて幸太はちょっとヒいてしまう。 「学校、部活、幸太とこーいうこと、晩飯、もう一日のルーティーンになってる」 「ルーティーンにすんな!」 半袖シャツに半ズボンという普段着だった幸太はギクリとした。 服の内側に滑り込んできた大きな掌に背筋が粟立った。 「うぉいこらぁっ、さわんなスケベ!」 「幸太はもうシャワー浴びたんだな、髪濡れてるし、いい匂いがする」 「もぉっ……嗅ぐなってばぁ……っ」 大和に首筋をクンクンされて、鼻先が肌身に触れるくすぐったい感覚に幸太はさらにゾクゾクする。 「せ……せめて部屋で……」 それを聞いた大和は。 細身の幸太をひょいっとその場で抱っこした。 「わぁっ!? お、落ちる落ちるっ、これ怖いんですけど!?」 「幸太が暴れたら落ちるかもな」 「このっ……このぉ……っ」 憎まれ口も叩けずに幸太は泣く泣く大和にしがみつく。 体幹が半端ない大和に抱っこされたまま、玄関から階段、二階にある自分の部屋へと持ち運ばれた。 「幸太の匂い、好き過ぎてやばい」 明かりも冷房も点けずにベッドへ直行、シーツの上に幸太を横たえると、大和は強張った顔を覗き込んできた。 「……大和は、部活直後で汗くさい」 「汗拭きシートで拭いてきたし、ミストもしたんだけど」 「だ、だって……こんな近いと、やっぱ……」 爽やかなアイスミントの香りの中に隠しきれない大和の匂いがしていて、キスされた瞬間から脳内を揺さぶられていた幸太は、改めて痛感する。 「シャワー浴びる余裕ないんだよ」 「いや、別に……そこまで気ぃ遣わなくてもいーけど……」 「一秒でも早く幸太に触りたくて」 「ッ……大和、そんなキャラだった? 彼女にもそんなこと抜かしてたの?」 これまで七人の恋人がいた大和は幸太の問いかけをスルーした。 飽きないキスを再開させる。 体格差が一目瞭然である幸太に完全に覆い被さって、先程よりも濃厚に大胆に初心な唇を攻めてきた。 舌と舌がぬるぬる擦れ合う度に幸太は眉根を寄せる。 きつく閉ざされた瞼がピクピク震えた。 薄目がちでいる大和はそんな些細な反応に逐一見惚れていた。 「んっ……!」 シャツ越しに乳首をつねられて幸太は首を竦める。 ふに、ふに、しつこくつねられると、身を捩らせて涙ながらに大和に言い放った。 「付き合うって、こーいうことだけじゃないと思うんですけど!?」 まだ乳首をつねる手を躍起になって引き剥がそうとすれば、両手首まとめて頭上に縫い止められてしまった。 「じゃあ、他にどういうことがあるんだ?」 「それはっ……一緒に遊びいったり……? 映画観たり、ごはん一緒に食べたり……?」 「映画も飯も、ただの幼馴染みの時点でもう実行済みだろ」 「そ、それはそうだけど……あ、大和……」 シャツを捲られて幸太はつい口を閉ざす。 外気に露になった、ぺったんこなお腹。 さらに捲り上げられ、うっすら色づく乳首の片方にキスされると「や……っ」と反射的に甲高い声が出た。 「今の、可愛い」 幸太の両手首をシーツに縫い止めたまま大和はキスを続ける。 やや芯を帯びてコリコリとしてきた乳首に舌を這わせ、吸い、またねっとり舐め上げてみせる。 「もっと聞かせて」 ムズ痒い。 お腹の底がジンジンしてくる。 熱い。 「ん……」 強めに吸いついてきた大和に幸太はもどかしそうに仰け反った。 「やだっ……それ、やだって……大和ってば……っ」 「ん」 「あっ……引っ張んなぁ〜~……っ……乳首……伸びちゃう……」 「ッ……お前、俺のこと笑わせようとしてる?」 「してないっっ……悪かったな、ムード読めない経験値ゼロの童貞で!」 ムキになって喚く幸太に大和は声を立てずに笑う。 まだ相手をしていなかった、もう片方の乳首を尖らせた舌の先で過剰に構いつつ、囁いた。 「ゼロではないだろ……七月入ってから経験値は俺と稼いでる」 告白されたのは一ヶ月前で。 「こーいうこと」をするようになったのは一学期の期末テストが終了した後で。 この半月の間、ほぼ毎日、放課後や週末に幸太は大和に懇ろに可愛がられていた。 「感度、大分よくなったな」 濡れそぼった突起の頂きにふぅっと息を吹きかけられただけで、幸太は、ビクンと過剰に反応した。 「なってな……」 「うそつき」 そう言って、大和が勢い任せにむしゃぶりついてきたものだから、幸太は限界まで胸を反らした。 「ん~~~っ……やぁ……っ……やだぁ……」 薄っぺらな胸を揉まれながら乳首をじっくり舐め吸われる。 大和の真下で自然と内股になった両足。 触れられていない性器までじわじわと熱くなっていく――。

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