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君は幼馴染み-6
「駄目だやっぱり気になる!!!!」
幸太は突拍子もなく叫んだ。
「大和、なんでカノジョが七人もいて、そんですぐ別れちゃったの? ほんとに自然消滅? むしろ不自然なんでない?」
藪から棒に矢継ぎ早に質問されて大和は目を見張らせる。
そこは幸太の部屋だった。
大和は一度帰宅し、それぞれシャワーを浴びて、それから誰もいない仲山宅で二人は……。
「……それ、今言う話か?」
快晴の昼下がり、遮光カーテンは閉められて薄暗い部屋。
すでにシャツを脱いで半裸の大和は、ベッドの上、自分の真下でブルブルしている幸太に呆れた。
「今聞かないでいつ聞くんだよっ」
「……」
「あ、こらぁ……っ……スルーすんなぁ……っ」
首筋にキスしてきた大和に駄々っ子さながらに幸太はイヤイヤと首を左右に振る。
「さっきのセンパイの反応だって、なんかっ……なんかっ……まだ大和のこと好きみたいな……かんじだった……」
大和は顔を上げた。
疑念に揺れる奥二重の瞳を覗き込み、ため息をつく。
「うう……呆れてる……ムード読めないおれに呆れてる……」
「ムードが読めないのはもう十分わかってる」
「う~~……」
大和に抱き起こされ、その膝上に乗っけられて、幼馴染みと至近距離で向かい合った半袖半ズボンの幸太は改めて赤面した。
「そういうところも好きだけど」
ハーパンを履いた大和に真顔で言われて幸太の胸の内はザブーーーーン……と、荒波に揉まれた。
「そっ……そーいうのいいから」
「どうしてこれまでの元カノと長続きしないで別れたか、聞きたいのか?」
「うん」
凹凸豊かな喉仏、なだらかな肩、胸筋、腹筋、こーいう状況下で間近にするのに未だに慣れていない幸太は目線に迷いつつ頷く。
「断んなかったのは、精一杯告白してきたコを振るのは可哀想だからって、前に聞いたけど」
「そうだな。正直に言うと、自分と重ねてる部分もあった」
「……ムキムキな大和と、精一杯な女子が重なる部分なんて……ある?」
「俺は幸太に告白するのに十年かかった」
「……」
「告白して、もし拒否られたら。たった一回の告白でこれまでの関係が壊れてなくなったら。そう考えたら不安で何回も躓いた」
「……大和が不安になることってあるの?」
「ある」
「いつも自信満々で、女子にキャーキャーされるのに慣れ切ってるのに?」
「本命には奥手なんだ」
「いや、膝上抱っことかしてきて、奥手とは思えないんですけど」
(……大体、告白してきたときも、お試しゴリ押しされて流されたよーな……?)
「告白に踏み切った相手の一生懸命な様を見たら、自分とだぶって見えて、全部受け入れてきた」
「でも、受け入れて、それでなんで……」
「なんで別れたのか?」
「うん、そこが知りたい」
「俺のが大きかったから」
「……はい?」
「俺が巨根だったから」
「はい!!!!????」
キレ気味に困惑している幸太に大和はまたため息を零す。
「俺は巨根だったから」
「いや、聞こえてますけど!! なにそれ!? どーいうこ、と……」
(どーいうことも、何も、そーいうことなのでは)
大きすぎて、本番ができなくて、泣く泣く別れた……?
それだと大和って、もしかして……?
「大和って童貞なの?」
「なんでそうなる」
即座に大和にツッコミを入れられて幸太はふくれっ面になる。
「だって、お前のがおっきいから本番できなかったってことだろ!?」
「違う」
「えっ、じゃあなに!? おっきいチンコの何が原因で別れるの!?」
「駄目になるから、だと」
幸太は心の底からきょとんとした。
「一人はこう言ってた、中毒になりそうで怖いって」
「ちゅ……中毒……?」
「勉強も部活もできなくなる、日常に支障が出る、そう言ったコもいた」
「日常に支障……?」
(なにそれ!!!!!!!!)
「そんなの、周りに言えるわけない。無難に自然消滅って説明するしかないだろ」
幸太はおずおずと大和と視線を重ねる。
同年代の平均体型を上回る立派な体つきをした幼馴染みに問いかけた。
「将来、大和はそーいう男優になるつもりなの……?」
「なんでそうなる」
二度目の心の底からの「なんでそうなる」を口にして大和は失笑する。
「だ……だって……ただチンコおっきいだけで、そんな……中毒とか、駄目になるとか……なんないでしょ? そーいうことが上手ってことなんじゃないの……?」
「幸太はどう思う?」
「はぇ……? お、おれは……」
深みのある黒目をした双眸に、じっ……と意味深に見つめられて幸太は口ごもった。
ふと片手をとられ、ソコへ導かされた際には、ついついゴクリと喉を鳴らした。
「俺、上手だって思うか……?」
「や、大和……なんでもう……こんな……?」
いつの間に服の内側でカタチを変えていた、熱を宿しつつある幼馴染み。
布越しに伝わってくる露骨な昂揚感に幸太はあわあわしてしまう。
「だって、おっきいとか、お前が何回も言うから」
(そんだけで勃つ!!??)
「それに幸太の重みがモロにクルというか」
どうしようと行き場に迷う手に大和の大きな手が重なり、ぐっと力を込められた。
「お前だとすぐに過剰反応する……なぁ、コレ、そんなに大きいと思うか……?」
「……し、知らない」
「さっきまで、おっきいって、連呼してたくせに」
「っ……こ、擦りつけてくんなぁ……」
掌にグリグリと押し当てられて幸太は眉根を寄せる。
冷房が申し分なく効いた部屋でじわりと汗をかいた。
まだまだ、これからなのに――。
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