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相思相愛うさぎとかめもどき-5

五時間目が終わった直後の休み時間。 「大町、ぶっ通しで寝てたな」 「この分だと掃除まで寝てんじゃね」 背の順に並ぶと運動部ゾーンに紛れ込む、実際は帰宅部でほぼほぼのんびり屋さんの大町が机に突っ伏して寝ていた。 そこへ歩み寄る一人の生徒。 巻島だ。 小悪魔風イケメン外見ながらも心と体を許した相手は大町オンリーという、重度の偏食コミュ障男子。 クラスメートやご近所さんどころか家族とも視線を合わせたがらない巻島は俯きがちに大町の元へやってくると机の前にしゃがみ込んだ。 見事に突っ伏して顔が見えない、教師に注意されても起きなかった短め黒髪の彼に向け、騒がしい休み時間の喧騒で掻き消されそうな呟きをぼそりと発した。 「え」 眠っていたはずの大町は巻島の呟きが鼓膜に触れた瞬間、覚醒した。 手足を縮めてしゃがみ込んで机にしがみついている身長171センチのクラスメートをまじまじと見つめた。 「なんで?」 なんで? じゃないよ、大町……。 放課後、父親は単身赴任、母親は美容室勤務で誰もいないマンション自宅でここ最近毎日と言っていいほど巻島は大町に求められていた。 大町はのんびり屋に見えて意外と早熟、特手の彼女はつくらず、かつて不特定多数のスケベ女子とスケベな関係に及んでいた。 『……俺……大町のこと……好き』 今は告白してくれた巻島とお付き合いしている。 一日でハシゴすることだって何回もあった下半身を健気な恋人にのみ捧げている。 そのせいなのか。 『あっあっ……大町っ……大町ってばぁ……も、むり……力はいんな……っ』 『あと三回』 えっちがどえらく長い。 半端ない絶倫ぶりで毎日飽きずにパコパコパコパコ、学校でだって休み時間どころか授業をさぼってパコパコパコパコ。 おかげで巻島は毎回へろんへろんになる。 高校一年生にして眠っても疲れがとれない。 授業にも集中できない。 よって苦渋の決断を下すことにした。 「俺達、禁欲しよ……?」

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