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相思相愛うさぎとかめもどき-7

他人アレルギーの巻島はぞっとした。 見ず知らずの積極的な通行人に話しかけられて電柱の陰で硬直した。 「いきなりごめんね、我々、こーいう者です」 こじゃれた格好の二人組は芸能事務所のスタッフだった。 ネットで巻島のことを知り、これまでアポをとろうとしてきたその手の関係者は多くいた、もちろん巻島は全てお断りしてきた。 「学校周辺、張ってた甲斐あったなぁ、これ名刺ね」 やたら馴れ馴れしい他人が最も苦手な巻島は拒否反応により一時停止に陥った。 頭痛や吐き気が一気に押し寄せてくる。 足元がグラグラしてきて、心細くなって、のろのろ大町と離れてしまうと怖いくらい不安が込み上げてきて。 「えっ」 涙ポロリした巻島に二人組はビックリした。 そんな二人組の間を割るようにして、にゅっと伸びた腕。 「迷子になんな。マキ」 大町だった。 ただただビックリしている二人組をその場に残して、てんぱっていた巻島の手を握り、まだ明るい街の端っこを大股で歩いていく。 「……大町、気づいてたの」 「うん」 「……大町、浮気してる?」 「してない」 「……最近、素っ気なかったから」 「禁欲期間でしょ、今」 「……だからって……放課後すぐバイバイしたり……別にいっしょいても……」 「うーん。難しい」 「……それって……俺とは、体だけって……こと」 大股なのにのろのろな大町はまた信号に引っ掛かった。 疑いつつも手を引かれて内心キュンキュンしていた巻島と向かい合った。 しっとり頬についていた涙の跡をセーターの袖でのろのろ拭った。 「マキといたら。シたくなる。だけど、それって、悪循環。禁欲したいマキからしたら」 巻島は……かああああっと赤くなった。 歩行者信号が青に変わっても気づかずに自分と向かい合っている大町に混乱するくらいキュンッキュンした。 「じゃあバイバイ」 バイバイしようとした大町のセーターを咄嗟に掴む。 他人を拒んで沈みがちな視線を大町にだけひたすら注ぐ。 「すぐバイバイされるの淋しいから……解禁、する」 恥ずかしがりながらもえっち解禁をここに宣言した。
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