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コスプレ応援団長を夜露死苦!-5

「あれ、三ツ矢君、忘れ物かな」 「ミツーヤ! ハロー!」 「ばくにゅ……ッ、ぶるんぶるん……ッ!」 違ぇ、爆乳はどうでもいい、いや、どうでもよくねぇけど素ン晴らしいけど、今肝心なのはソコじゃねぇ。 腕組んで爆乳ぶるんぶるんで一緒帰るとか完全できあがってんじゃねぇか。 こンの不道徳教師め。 「三ツ矢君?」 百八十四センチの古巣と英語ティーチャーアマンダ、意外な組み合わせのようでいて二人並ぶと見栄えする長身カップルといったところか。 ぶるんぶるんに圧倒されて、人目憚らずいちゃいちゃしている教師二人にイライラムズムズモヤモヤが一気に増して、激昂した三ツ矢は。 「この……ッこの……ッぅぅぅッ……ぐすん!」 泣き出してしまった。 そんな矢先に。 校門前に派手なアメ車が横付けされたかと思うと軽快にクラクションを鳴らし、アマンダは未練なく古巣から離れると駆け足で車へ、助手席に乗り込む寸前に笑顔で振り返って「バイナーラ!」と思いきり言い放った。 ヴォォォォンと走り去っていくアメ車。 涙目三ツ矢は呆然と見送る他なかった。 「今のはねぇ」 僕の友達でねぇ。 アマンダ先生に先月紹介したばかりなんだけど。 とても相性が良かったみたいで、結婚するんだって。 校庭に咲き誇る桜が風に吹かれて黄昏に花びらを散らす。 まだアメ車の走行音が尾を響く中、聞くに聞けなかった、本当のことを知るのが怖くて無意識に遠回しにしていた質問の答えを知ることができた三ツ矢は、つい、ぽろりと本音をこぼした。 「……よかったぁ……」 涙に濡れた三白眼を見つめて古巣は……怖いくらいにこやかに微笑んだ。 「じゃあ行こうか、三ツ矢君」 「えっ?」 「僕の家、ここから近いんだ」 「い、家っっっ!?」 「そっちは車道側だから危ないよ、こっちにおいで?」 「い、家って……え……でも……俺……」 モジモジする応援団長の手を引いて桜の薫る道を進む古巣の丸眼鏡が……不敵にキラーンと光った。

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