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カモフラージュ転じて恋と為す?-2

かくして百井と高良の恋人カモフラージュが始まった。 「高良~♪今日どこごはん行く~?」 「モイくん、なんでそんな高良にべったりなの」 「そーいう気分なんだよ」 「そんでさ。来月の合コンなんだけど、一人足んなくて。高良、来ない?」 「高良はだめ~~、高良は合コンに来るような女子とはお付き合いしねーの~~」 「ダントツめちゃくちゃもてるからモイくん面白くないだけっしょ」 「違うわッッ。つーか高良は俺のなの~今日から俺がひとりじめすんの~」 「百井、教授が来たから膝から下りてくれ」 本日最後の講義を終えた二人。 「バイト給料日だからおごってあげましょー」 市街地から近い大学キャンパスを出、すっかり日が暮れて夜の灯火にキラキラ瞬く街並み、通行人の絶えない表通り沿いを並んで歩いていたのだが。 「また来てるな」 「え? あ、マジだ。こわ」 「ちょっと言ってこようか」 「あーーやめとけやめとけ。あーいうのは下手に刺激しない方がいいって。いっつもフードかぶって見るからにヤバそーだし。ほっとけ」 「でも」 「手、つなご、高良♪」 百井は他通行人の目をまるで気にせずに高良と手を繋いだ。 「つーか、お前の手、でか」 あれ、何気に母親ブリかも、誰かと手ぇ繋ぐの。 つーか、俺、彼女と手ぇ繋いだこと、ない。 タイミングわかんないし。恥ずかしーし。 高良は友達だし男だし、平気だけど。 「みんな見てるぞ、百井」 「ストーカーくんも見てんだろ。俺らの熱々ぶり、見せつけてやろ」 「見せつける、か」 それならこっちがいいかもしれない。 「え」 歴代彼女と手を繋いだことがなかった百井は内心ぎょっとした。 高良に指と指をしっかり組ませ合う恋人繋ぎに移行されて、ちょっとばっかし、どぎまぎした。 ちょ、おいおい、相手高良だから、どきどきすんのおかしーから。 確かこいつ今まで彼女が二人いたんだっけ。 俺はすぐフラれちゃって長続きしないけど。 こいつのことだからちゃーんとお付き合いしてきたんだろうな。 つーか、指、太くて長。 こーいう手で……おっぱいとか揉んできたんだよなーー……。 「百井」 「えッ?」 「どこ行く? 焼肉か?」 「焼肉は高ぇって……」 こいつ高良、友達で男だから、どきどきすんのおかしーから。

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