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リバーシング・キス-2

「今度、彼女と遊びにいくことになってさ」 「……」 「雅誓も一緒来いよ」 「は?」 「明日の土曜日、十二時半、駅ビルな」 「おい」 「だって二人っきりで映画とか緊張すんだもん」 照れ笑いを浮かべる隆真、内心、途方に暮れる雅誓。 窓際の席から長めのダーティーブロンド越しに地獄耳は聞き逃さなかった……。 「よく見れば勝手に解散してくれちゃった<トゥルドラ>の元ヘッドと参謀さんじゃん?」   運の悪いことに。 雅誓と隆真は勝手に自分達をライバル視していた気性の荒い凶悪チームに遭遇してしまった。 街中だろうと何度警察沙汰になろうと性懲りもなく騒ぎを起こす彼等に追われる羽目になった。 「俺の手癖の悪さに感謝しろ、隆真」 夕暮れの街中の死角、袋小路に追い込まれた雅誓は震える彼女を必死で守ろうとしている隆真を背後にし、相手の懐からいつの間に奪ったナイフを翳した。 「雅誓、俺も、」 「そこにいろ。時間稼ぎくらい一人でできる」 メールで元メンバーに危機的状況を報告し、誰かが駆けつけてくれるまでの間。 隆真と、隆真が大事にしている存在を何とか守り通そうと、十名近い相手と雅誓は対峙した。 卑劣極まりない同時攻撃にどんどん傷を負っていく白肌。 かわしきれずに野蛮な刃先や拳によってダメージを食らい、それでも倒れず、懸命に二人を庇い続ける。 『彼女のこと……好きなんだ』 体よりも心が痛かった。 下手すれば虚しさに巣食われて止まってしまいそうな四肢をそれでも奮い立たせ、まるで自分自身の絶望を切り裂くようにナイフを振るう。 身も心も深手で傷ついた雅誓の元に真っ先に訪れたのは。 「とても綺麗だ、雅誓」 ヨシュアだった。 190近い長身であり、様々な護身術やら武道を嗜んでいた彼はあっという間に相手方を素手・素足で蹴散らした。 「すごい、ヨシュア」 「どうも、清己河原元総長殿」 ずっと彼女を徹底して守っていた隆真に畏まってお辞儀し、うんうん唸る相手方を長い足で颯爽と避けて進んで。 フェンスに力なくもたれていた、意識が薄れかけている雅誓を軽々と抱き上げた。 「おやすみ、濡れ羽色のお姫様。俺の翼の中で傷を治すといい」
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