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おやばかエクスタシー-6
今日は超自慢のかっこかわいい息子・岬の授業参観日。
ちゃーんと有休をとっていた雄介はスーツでびしっとキメて学校へ到着した。
授業は通常と違う特別内容、生徒達がグループ毎に各自決めたテーマで発表していく形式のものだった。
へぇ、ファッションの次はゲーム、そんでアニメか、俺の頃はパン工場とか地域の昔話とか学校の歴史だったけどな、はぁ、俺も年とったんだなぁ、なんかついていけなーい、うわ、ここで世界情勢がクル? このコなに喋ってんの? 俺、よくわかんなーい。
二十九歳という年齢にしてはまだチャラさが抜け切れていない、頼りないパパな雄介、香水やらお化粧品がふんわり香るママ達の狭間でつい欠伸を連発してしまう。
ふわぁ、眠い眠い、お、隣のママかわいーじゃん、あー、でも俺より下ってコトはないよな、若作りしてんのかな?
あ、こっちのママは美人系だな、いー匂い、わぁ、うなじにほくろですか、あなたサイコーじゃないですか。
「……だと思います」
周囲のママをちらちら見ていた雄介ははっとした。
やば、岬、いつの間に。
そう、人妻香る魅惑のお花畑に雄介が溺れている間に岬のいるグループはいつの間にか発表を始めており、チャラい父親が気が付いた頃には、もうまとめの段階に入っていた。
「以上で発表を終わります」
真ん中にいた岬が他のクラスメートと一緒に礼をするとパチパチ拍手、今までの発表と比べて圧倒的に拍手数が多い、というか中学生にしか見えない早熟女子が明らかに色めいていた。
さすが俺の息子、伊達に童貞喪失済み、あ、そーだ、例の音楽の先生チェックしとこっと。
礼をした後、頭を上げた岬と目が合った雄介は「よくやった」という意味合いを込めてピースサインを送った。
岬は無表情でスルーした。
あれ? 岬の奴、なんか怒ってる?
「ゆー君、おれの発表聞いてなかったよね」
学校が終わった岬と待ち合わせし、早めの夕食をファミレスでとっていた雄介はその台詞にチャラ笑い。
「うん、あんま聞いてなかった」
「しかも後藤さんと米崎さん見てたよね」
「あ、両隣にいたママ達? あの二人かわいーし美人だよな、こどももやっぱかわいーの?」
「どっちも男だよ」
「げ。なーんだ」
ハンバーグとエビフライの洋食セットを食べていた雄介、心底残念がった。
「ゆー君はいいね、いつも楽しそうで、自然体でいられて」
カキフライ御膳を食べていた岬は大人びた笑いをそっと浮かべる。
二人、完全に逆の立場だ。
「なー、カキフライ一つちょーだい?」
「いいよ」
「むしゃ、げっ、熱ッ、カキ汁ッ、熱ッ!」
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