39 / 132
とらいあんぐるふぁみりー-6
「……父さん……」
紅史郎にまたホテルに呼び出された雛汰。
学校帰りに直接やってきた彼は制服を着ているはずなのだが。
「来なさい、雛汰」
一人掛けのソファに座った高級スーツ姿の紅史郎に言われ、雛汰は、ぎこちない足取りで父の元へ。
初めて履くハイヒール。
それに太腿がすぅすぅして、無防備にも程があって。
「父さん、おれ……これ、ちょっと……」
肘掛に片頬杖を突いて長い足を組んだ紅史郎は自分の目の前にやってきた雛汰を下から上までじっくり眺めていく。
白のハイヒールに白のニーハイ網柄ストッキング。
絶対領域を生み出すミニのピーチピンク二段フリルスカート。
剥き出しの鎖骨に肩。
きゅっと結ばれた唇、伏し目がちな双眸。
頭の天辺には……バニーガールがつけるような、ミニワンピースドレスと同色のふわふわした兎耳が。
部屋に入るなりハロウィンかクリスマスに女子が着そうな、うさぎちゃんコスプレ衣装一式の着用を命じられた雛汰。
「ちょっと……こんな格好、無理かも」
「一周してみなさい」
「え……?」
「一周しなさい、雛汰」
男前ポーズで低めの声色で命じられ、雛汰は渋々、慣れないヒールでその場でよたよた一周する。
お尻のところにつけられたふわふわ白しっぽが最高にキュートだ。
肘まで覆う白手袋をはめた手でミニスカートを押さえる本物女子めいた仕草が堪らない。
「父さん、もう脱いでもいい?」
「駄目だ、来なさい?」
再び紅史郎に来るよう言われた雛汰は困ったように父親をちらりと見。
ソファに座る紅史郎の真上へ、危なっかしげに、移動した。
「よく似合ってる」
「……こんな格好、やだ」
「我侭言わないよ、雛汰?」
自分の方が我侭全開で雛汰にうさぎちゃんコスプレさせておきながらそんなことを平然とのたまう紅史郎。
「可愛い兎さんだね」
「や……だ、やめて、父さん」
「ちゃんと全部身につけたかい」
紅史郎のその言葉に雛汰は「……」と沈黙を返す。
「雛汰?」
「ッ……履いたけど、なんか、サラサラしてて……もう脱ぎたい」
「見せてごらん?」
「っっ」
かぁぁぁと真っ赤になった雛汰、紅史郎を跨いだまましばし硬直した。
しかし相変わらず片肘を突いたまま悠然と待っている紅史郎に折れて、どくんどくん、いつになく高鳴る胸に息苦しさを覚えながら。
「ちゃんと……履いてるよ……?」
微かに震える両手で少しずつ持ち上げられていったスカート裾。
太腿の行き止まりには……サテン生地の純白紐ランジェリー。
すでに火照りを宿しつつある膨らみが頼りない布で覆われていた。
「サラサラしてて……擦れてたら、おれ、感じちゃって……」
控え目に盛り上がったランジェリーの天辺がじんわり染みを広げていた。
片手を紅史郎の肩に乗せていた雛汰は、もう片方の手を、うっすら濡れた天辺にそっとあてがった。
「女の子って……毎日こんなの履いて……感じないの? おれだけ……感じちゃう?」
雛汰の掌が自慰をしたそうにランジェリーの上を行き来している。
「雛汰……オナニーしたいのかい?」
「……したぃ」
「いいよ、してごらん」
「……服、どっちも汚しちゃぅ……」
そう言いながらも雛汰は白手袋に包まれた手で下にずらして。
ぷるんっと弾けるようにペニスが飛び出せば、細めの五指できゅぅっと握りしめ、先っぽをクチュクチュといぢり始めて。
「我慢できなかったんだね」
「ぅ……ん……っあ、ん……もういっぱい濡れて……」
「ああ。雛汰のペニス、先っぽ、すっかりとろとろだ」
「や、ぁ……」
白手袋がぬるぬるに濡れていく。
紅史郎の肩をぎゅっとし、太腿をぷるぷる震わせ、紅史郎に間近に見つめられながら雛汰はオナニーに夢中になる。
「も……もぉ、でちゃうかも……んんんっ……精ぇ子……っおちんちんからでちゃぅ……」
「もう?」
「あ、ぁ、あ、だって……ぇ……あ、あ、ぅ、手、ぇ、とまらなぃ……っ」
「可愛くて淫乱な兎さんだ」
紅史郎に「淫乱」と言われて雛汰の腹底がきゅぅぅぅぅん、ときめいた。
「父さ、ん、っ、やだぁ……おれ、淫乱なの……っ? こんな格好で、こんなコトして……っおれぇ、すぐいっちゃぅの……オナニー、とめられなぃの……っあっあっあ……んーーっ……あんっ、でちゃっ……んっんっんーーーーー……っっ!」
紅史郎に見守られながらうさぎちゃん雛汰は射精した。
利き手でひたすらしごいていたペニスをぶるつかせて。
十分に湿り渡っていた鈴口からとろとろみるくをどぷっっと解放した。
「ッッッ、あーーーー…………っっっ」
大きく胸を反らして喉奥から甘い声を絞り出す。
ビクッ、ビクッ、全身を痙攣させて頭の芯まで火傷しそうな絶頂感にどっぷり浸かる。
「淫乱で、イケナイ兎さんだ、雛汰?」
エビ反りになって喘いでいた我が子を抱き寄せて紅史郎は労いのキスを落とした。
唾液が零れていた口角をゆっくり舐め上げ、上下の唇をついばみ、弛緩した舌先に経験豊富な舌先をぬるりと絡ませた。
「んん……っん……ぅ……とうさぁん……おれ……旭くんと陽くんのごはん、つくらなきゃ……あぁんっ」
「お腹へったよー、旭ぃ」
「あのクソオヤジ、また雛ニィ独り占めしやがって」
「いつかアイツの会社ぶっつぶそー」
「資金が貯まって俺らの会社立ち上げて波に乗ったら、即、潰す」
「「えいえいおーっっ」」
父親と弟双子による長男争奪戦、まだまだ長引きそうだ……。
ともだちにシェアしよう!