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アンモラルな家族-2
「おかえり」
休日出勤で夕方に帰宅した和利はもう一人の息子に出迎えられて少しばかり驚かされた。
「その反応。幽霊でも見たみたい」
離別した先妻との間に生まれ落ちた、史乃・遼とは血の繋がりがない、一人目の息子。
身長170後半の和利を追い抜く、黒髪の、中学時から両耳にピアスをしている、出席日数と欠席日数がほぼ同じである相原桔梗 (17)。
「お前が家にいるのは珍しいからだ」
ろくに言うことを聞かない、夜遊びを繰り返す桔梗のことを和利は放置しきっていた。
再婚当時、五歳だった息子は新しい母親の史乃に余所余所しかった、そして成長していくにつれてさらに距離をとり始め、弟の遼に対しては……抱っこすらしたことがない始末だ。
「自分の居場所がないこの檻を家だとは思ってないから」
ああ言えばこう言う桔梗と会話をする気にもなれず、そういえば史乃と遼は買い物に出かける予定だったかと思い出し、和利は洗面所へ向かおうとした。
不意に鳴り出した携帯の着信音。
<貴方? お仕事終わったかと思って……>
出れば妻の史乃から、今から待ち合わせて食事にでも行かないかというお誘いの連絡だった。
「そうだな、今丁度家に帰ったんだが……」
自分に背を向け、整然と片づけられたリビングの片隅で史乃と話している和利。
優秀な営業成績を誇り、自信に満ち溢れた、容姿にも優れた父。
かつての妻の一度の裏切りを許せず問答無用に断ち切った男。
大好きだった母親から離されて憎んだ、嫌いだった、自信があるようでいて実際は女々しい、傲慢な和利のことを桔梗は軽蔑していた。
そんな悪感情はいつしかさらに歪んで。
穢らわしく黒ずんだ独占欲を生み落した。
「今から三十分後には、ッ……」
和利は台詞を切った。
急に後ろから桔梗に抱きしめられて心の底から戸惑った。
<三十分後には着けそうなの? もしもし? 貴方……?>
ラグの上で無感情に鳴り続ける携帯の着信音。
「ッ……桔梗……」
クリーム色のソファに押し倒された和利。
ワイシャツは捲れてネクタイは喉骨に絡まり、両手首はベルトによって後ろ手で締め上げられ、下半身は剥き出しにされていた。
「久しぶりに俺のこと呼んだね」
初めて貫かれた尻孔。
息子のはち切れんばかりに膨張したペニスを根元まで呑み込まされ、ヒクヒクと悶絶収縮している。
「きつい。父さん、処女だったんだ。コッチは相当使い込んでるのに、ね」
萎えていたペニスを唐突に鷲掴みにされて和利は目を見開かせた。
「痛い?」
湧いてきた涙で双眸を濡らしながらも和利は泣き言など吐かず、露骨に顔を逸らし、あくまで息子から視線を逸らし続けた。
よりギチギチとペニスを握りしめられた。
尻奥をゴリゴリ抉られ、狭苦しい腸壁の狭間を図々しいペニスでいくら凌辱されようと、情けない声を必死で殺し続けた。
「強情」
昔からよく知っている男の頑なぶりに桔梗は愉悦した。
「犯し甲斐、あるよ、父さん」
息子の口から聞かされるとは思ってもみなかった台詞の直後、その通り、乱暴に無造作に立て続けに激しく挿し貫かれた。
「ッ、ッッ、ッッッ!!!!」
一段と硬くなり、痙攣したかと思えば、どぷどぷと尻膣奥に流し込まれた我が子の種。
「は、あ……」
鬱血するくらい唇に歯を立てて身悶える和利に覆いかぶさり、私服を纏ったままの腰を執拗に揺すり、桔梗は最後の一滴までしっかり父に打ちつけた。
「……夢、叶った」
「……俺を犯すのが夢だったのか」
「うん……? それもあるけど……ずっと父さんのためにとってた」
我が子に犯されて悔しくて歯痒いながらも、和利は、ずっと拒んでいた我が子にぎこちなく視線を向けた。
「ッ」
桔梗は笑っていた。
微かに見覚えのある、ずっとずっと遠い昔に目にした、幼い笑顔がそこにあった。
父の孔で純潔を喪失した息子。
桔梗の言葉を理解した和利は……。
「ッ……締まった」
見目麗しく育った桔梗の初めての相手だと認識した途端、どうしようもなくなり、まだ自身の奥で熱く打ち震えているペニスを仮膣が勝手に愛情深く抱擁してしまう。
「俺の童貞、食べれたの、嬉しいの?」
「……違う」
「だって、さっきよりすごく……あ。ここだって」
先程、力任せに鷲掴みにされて怯えていたはずのペニスが半勃ちになりつつあった。
思わず赤面した、偽りの自信家が浮かべた本性なる表情に桔梗は笑う。
白い五指をゆっくりと絡ませる。
完全に勃たせようとしごく。
「あ……っ」
「その顔。もっと見せて」
「桔梗ッ……ン……」
性器と同じく誰の味も知らなかった唇は初めてのキスに夢中になった。
「ッ……は……こんなの、初めてなわけがない……こんな、動き……ッ」
念入りに嬲られたばかりの尻膣を改めて擦り上げられ、生意気に奥ばかり小突いてくるペニスに切なげに和利は眉根を寄せた。
「父さんだから、自然と、こうなるだけ」
「あ……っあ……っあ……っ」
「父さんにしかこうならない……ずっと嫌いで憎かった……誰よりも愛してやまない父さんだけ」
体を折り曲げられてもっと深いところに鉛じみた熱塊が押しつけられるなり。
開始された音が立つほどの抽挿。
深い奥ばかり勢いよく突き上げられた。
「あッッ……桔梗ッ……」
「他の誰も知らない、俺だけが知ってる本当の父さん、もっと見せて」
「ああッ……く……ッは……ッ」
「女々しくいってみて」
「いや、だ……ッあああッ……やめッ、もぉ……ッんンン……ッ!!」
両手首を縛り上げるベルトをギチギチ鳴らして和利は仰け反った。
白い手にすっぽり包み込まれていた亀頭天辺から熱流を弾いた。
それでもしごかれ続け、過敏に腹を波打たせ、緩んだ口元は唾液で一気にペニスと同様濡れそぼった。
「はッはあッあッはぁッ……は……ッ」
本当は誰よりも卑屈で可哀想な父さん。
俺だけが父さんの全てを愛してあげる。
「みんなで揃ってご飯なんて久しぶりね」
「おいしぃ」
「遼、デザートはいらないか?」
「桔梗くんは? 何か追加しなくていい?」
「とっておきのデザート、俺はもう先に食べたから」
「桔梗、肘を突いて食べるんじゃない」
不道徳家族、次は誰が誰と禁忌を踏み躙る?
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