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アンモラルな家族-4
前もって予約をとっていたシティホテルの一室。
「う……ッ」
黒と白を基調としたシックな室内に溶けていく捩れた声と吐息。
ダブルベッドにしがみついて床に両膝を突いた和利。
彼にぴたりと覆いかぶさった桔梗。
和利のビジネスコートはベッドの上に放り投げられ、桔梗はモッズコートを羽織ったまま、お互い着衣はほぼそのままに。
露出された和利の双丘に密着した桔梗の腰。
狂おしく蠢く尻膣奥で白濁を噴き、小刻みに痙攣を繰り返すペニス。
「う、ぅ、ぅ……っ」
しぶとく精を放つ我が子に和利は呻吟した。
懇ろに可愛がられている遼が知る術のない、眉間に深く刻まれた縦皺。
甲斐甲斐しく尽くしている史乃が聞いたことのない苦悶の呻き声。
「……はぁ……」
父親の胎底で絶頂を迎えた桔梗が甘いため息を零し、シーツに爪を立てていた和利はきつく閉ざしていた瞼をぎこちなく持ち上げた。
「っ……もう、いいだろ……離れろ」
喘ぎ声を出すまいと歯を立てて鬱血した唇に命じられる。
乾燥した室内は暖房がよく効いていて、それ以上に熱く火照る肉壺にうっとり我が身を預けていた桔梗は恥辱に震える和利を薄目がちに見下ろした。
しっかり奥まで捻じ込んでいたペニスをゆっくり抜いていく。
温んだ内壁を擦り上げられ、その度にビクリと反応してしまい、和利はまた唇を噛む。
早く、早く家に帰らないと、急がなければ……。
狭苦しい尻膣を占領していた熱源が引き摺り抜かれるまで後少しというところで。
桔梗は和利の命令もとい哀願を裏切った。
抜けかかっていたペニスを一気に最奥へ再び。
獰猛なくらいの勢いで根元まで突き挿した。
「はッッッ」
不意討ちの全挿入に堪らず和利は仰け反った。
喉を引き攣らせて急な満腹感に息を荒げる父親に桔梗は擦り寄った。
「父さん、勘違いしてるみたい」
「はーーー……ッはーーー……ッな、に……が」
「今から本番だから」
射精したばかりで内壁にこびりつく精子を絡ませ、深い抜き挿し、露骨に音を立ててピストンする。
「俺ので濡れて、ほら、さっきより突きやすい」
ネクタイやワイシャツの第一ボタンに締めつけられて窮屈そうな和利の喉元が歪に鳴った。
「桔梗ッ……いい加減にしろッッ……ッ」
「父さんが怒鳴ると締まって気持ちいい、もっと怒って?」
背筋を伸ばし、スーツ下に覗く尻たぶを鷲掴みにし、桔梗は腰を動かした。
強引に拡げられた肉孔に出入りするペニス。
深々と交じり合う場所で掻き出された精液が卑猥に泡立つ。
勢い任せだった一度目と違い、緩急をつけ、和利の尻膣をじっくり突き上げる。
時に緩やかに焦らすように。
亀頭から根元まで、振り幅つきのロングストロークで尻孔を行き来する様を視界でも堪能する。
「ああ……ッあ……ッ、ッ」
「これ? これが好き?」
「ぃ……ッ、あッ……やめろ……ッもう止めてくれ……ッ」
和利が嫌がれば嫌がるほど桔梗の興奮は増す。
だから。
「そうだろうね、だって今日はイブだから。家であの二人が父さんのこと待ってるよね」
和利の嫌悪感が募るようなことを敢えて言ってみる。
「早く家に帰っていつもより手の込んだ料理、二人と食べたいよね」
「あッ、あッ、ッ、あッ」
「でも。あの人の作るごはん、俺、あんまり好きじゃない。手間暇かけ過ぎて重たくない?」
「ッッ……偉そう、な、こと、抜かすな……ッッあ……っ?」
唐突な体位移行に和利は反射的に身を竦ませた。
ベッド上で下の衣服を脱がされ、片足を持ち上げられた松葉崩しで、角度を変えて攻められた。
今まで刺激されなかったところをペニスで嬲られて和利は咄嗟に顔を背けた。
「この辺もイイんだね」
コリコリとした前立腺を押し上げるように突き上げられ、半勃ちのペニスが素直に反応し、死にたくなった。
「俺は甘口のカレーとか。ケーキだって高くなくていい。駅裏に昔からあるケーキ屋さんのチーズケーキで十分」
顔の前に翳した片腕の下で和利は目を見開かせた。
かつて過ごしたクリスマスの記憶をなぞる我が子に思いきり眉根を寄せた。
「父さんは? 父さんも好きだったよね?」
自分を裏切った前妻を嬉々として思い出させようとする桔梗を睨みつけた。
「それ以上言うな、桔梗……ッ」
桔梗は笑った。
たった一度の裏切りを許せずに未だ過去を引き摺っている父親を哂った。
「かわいそう」
ボタンをいくつか外して無理矢理肌蹴させたワイシャツ。
仄かに色を帯びた突起に執拗に纏わりつく唇。
「父さん、乳首で感じるんだね」
唾液で満遍なくびしょ濡れになって、尖らせた舌先で蹂躙されて、痛いくらい勃起していく。
「甘噛みしたら、奥、キュッて締まる」
モッズコートを脱ぎ捨てた桔梗に容赦なく吸い上げられた。
胸の突端がジンジンと疼くような感覚に和利は声にならない悲鳴を上げた。
二人の間でヒクつくペニスを一段と膨らませて。
「そろそろいきそうだね」
「誰が……ッいくかッ、こんなことで……ッ」
「俺のこと見ながらいって?」
他人のみならず自分自身を上手に偽って順調に人生を送っている父親が無様で愛しくてならない息子。
「ほら」
濡れそぼった突起を解放し、顔を隠そうとする両腕を片手で纏め上げてシーツに縫いつけ、悔し涙に満ちた双眸を覗き込んだ。
「俺のペニス咥え込んだまま射精して」
もどかしそうに跳ねていたペニスを握りしめ、カウパーの滴る先端をしごいてやれば、和利は過剰に喉を反らした。
「ほら、早く」
父さん自身が嫌っていて目を背けているみすぼらしいところも根こそぎ。
俺のものにしてあげる。
「いって……?」
和利は射精した。
尻膣に図太く居座る我が子のペニスをきつく抱きしめ、涙と唾液を垂らし、女じみた嬌声を迸らせてあからさまに達した。
ビクビクと打ち震える和利に桔梗は口づける。
禁じられた交わりに心身ともにどこまでも溺れながら。
「ただいま、史乃、遼」
「行ってらっしゃい、じゃあね、父さん」
和利は我が家へ帰り、一人シティホテルの部屋に残った桔梗はサイレンの行き交う夜の街を窓越しに見下ろした。
『桔梗、ほら、クリスマスプレゼントだ』
かつての思い出を記憶の底から一つ一つ浚っては思わず笑みを零す。
見当違いのプレゼントばかり。
本当に欲しいものなんて一度だってもらえなかった。
でも、やっと。
心の底から願ってるプレゼントを手に入れた。
もう二度と手放さない。
「メリークリスマス、父さん」
屠るように愛してあげる。
end
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