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にいちがに、ににんがし、にいちゃん詐欺グループ主犯格でおとうとダメエロDK、クソワロタwww-6

テーブルいっぱいに並べられた出来立ての手料理。 ハンバーグやオムライスといった洋食寄りの中、一品だけ浮いたお味噌汁が一番湯気を上らせている。 そして真ん中には店から買ってきた唯一の既成商品が。 ホールサイズの苺のショートケーキ。 ホワイトチョコレートのプレートにはメッセージが書かれていた。 <Happy birthday!! かいとくん!!> その日も克は詐欺活動に一日身を費やすつもりで午前中にくわえタバコでマンションの自宅を出た。 「にいちゃん」 植え込み前に座り込むあほあほ私立の制服を着た架尹斗と目が合う。 迷わず舌打ち。 足取りは一切緩めずにそのまま弟の前を通り過ぎようとした。 「待って、待って」 「お前は俺の機嫌を損ねるのが誰よりも得意だな、感心する」 克に褒めてもらったと勘違いした架尹斗は嬉しそうに笑った。 朝、学校をさぼってマンションから兄が出てくるのを弟が待ち構えているというこのパターン、実は初めてのことだった。 引っ越しでもするかと考えて駅に向かう兄。 そんないかにも不機嫌そうな兄の顔面に小汚い紙切れをいきなり突き出した弟。 「……」 よれよれの紙切れにはメッセージが書かれていた。 <かいとの言うことを一日何でもきく券> 「覚えてる? これ、俺が三歳の誕生日のときにね、にいちゃんがくれたんだよ。俺、これ、宝箱にしまってて、小学校入ったくらいに見つけて。それさ、賞味期限書かれてないよね? あ、賞味期限だと牛乳とかパンになっちゃうか、有効期限? その有効期限、書かれてないよね。だから今でも、てか、今日使えるってことだよね」 架尹斗の三歳の誕生日。 それは兄弟が母親と過ごした最後の誕生日会。 「……」 今、この場で破り捨てて<かいとの言うことを一日何でもきく券>を永遠に無効にしてしまうこともできた。 しかし、記憶の底に沈んでいた最後の誕生日会の思い出が不意に克の脳裏に蘇って。 母親が架尹斗の父親と出会う前。 二人きりで暮らしていた頃。 1児の母親がNo.1キャバ嬢へ夜毎変身を遂げる前に作ってくれたお味噌汁の湯気がやけに鮮明に思い出されて。 「……今日限りだからな」 今日。そういえば今日は。 「ケーキ食べたい」 架尹斗の最初のお願いをきくため克は駅近くのケーキ屋さんへ。 くわえタバコのまま入店したら店員からおずおず注意され、架尹斗に金だけ渡して自分は外で待った。 待っている間、部下に電話をして今日はそっちに顔を出せないと伝えた。 それから五分ほどして架尹斗は外へ出てきた。 「買ってきた」 「そのサイズ、お前、ホール買ったのか」 「うん」 「俺は食わねぇぞ」 「うん。にいちゃん甘いの苦手だもんね」 ケーキの箱を大事そうに抱えて架尹斗は次のお願いを口にする。 「ラブホで食べたい」 ……<かいとの言うことを一日何でもきく券>なるものをつくってしまったガキの自分を抹殺したくなる克なのだった。

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