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姉婿エクスタシィ-3
「おかえりなさい、亮輔くん」
日曜日、午前中シフトのバイトを終えて亮輔が自宅に帰ってみれば。
リビングのコタツで蜜柑を食べていた姉婿の由紀也さんに出迎えられた。
嫁の実家で由紀也さんは寛いでおり、当の嫁は見当たらない。
キッチンで洗い物をしていた母親が「あの子、お友達と韓国旅行に行ってるそうよ、もう」とため息混じりに呟き、亮輔は姉の奔放さを改めて実感した。
「亮輔くん、お昼は?」
「あ、軽く食べてきた」
窓辺にできた日溜まりをすぐ背後にして由紀也さんは二つ目の蜜柑を剥き始める。
ダウンジャケットをソファに投げ捨て、亮輔は由紀也さんの向かい側に腰を下ろしてコタツに入った。
「あー、あったかい」
「蜜柑、食べますか?」
由紀也さんのうっすら天然茶色の髪が正午過ぎの日差しに淡く煌めいている。
長い睫毛がなんだか色っぽい。
襟シャツにVネックのセーターという格好で、開かれた第一ボタンの間から控え目に覗く鎖骨や、黒子のある首筋に自然と視線が吸い寄せられる。
大人しそうなくせしてこの由紀也さんは義弟亮輔の童貞をちゃっかり車上で失敬していた。
「はい、どうぞ」
亮輔の目には、大人しそうな綺麗なアラサー男子由紀也さんが冬の昼下がりに無駄に色気を振り撒いているように見えて仕方がなかった。
丁寧に皮を剥いて蜜柑を一房ずつ食べる、そんななんてことはない仕草がやたら官能的に感じられて。
むくむく悪戯心が芽生えてきた。
「……ありがと」
繊維みたいな白いやつも取り除いてから蜜柑を手渡してくれた由紀也さんに礼を言いながら。
亮輔は胡坐を組んでいた両足を解いて片足だけ伸ばした。
向かい側で正座をしていた由紀也さんの膝に、足裏が、ぶつかる。
「……」
由紀也さんはぴたっと動きを止めた。
すぐに亮輔へ戸惑いの視線を投げかけてくる。
「甘くておいしいね」
亮輔は足裏でとんとん叩くように由紀也さんの膝頭に触れた。
「そう、ですね……」
次は撫でるように膝上に沿って足裏をスライドさせる。
口内で果汁を堪能しつつ、由紀也さんの膝や太腿の感触も足裏で堪能する。
閉ざされた両膝の狭間を、割るように、ぐっと足裏に力を込めてみたら。
由紀也さんは無言で首を左右に振った。
「……大丈夫だって」
キッチンにいる母親に聞こえないよう亮輔は小声で囁く。
由紀也さんは長い睫毛の影を頬に落として伏し目がちに。
その角度がまた絶妙な色気を伴っていて。
亮輔はさらに足裏に力を込めた。
正座を崩すように太腿の間に割り込ませる。
むにゅっ
亮輔の足裏、由紀也さんの股間に到着。
由紀也さんは真っ赤になって、手にしていた一房をぽろっと取り落とす。
そんなところへ。
「はい、お茶、どうぞ」
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