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カラスのコはカラス-2

「こっち向けよ、鴉野」 ずっと俯いていた黒部がぎこちなく顔を上げれば強引に向きを変えられるなり唇を塞がれた。 そこは本来立ち入り禁止の屋上だった。 重たげな曇り空の下、座り込んだ黒部が背中からもたれているのは。 三年生の鳶島(とびしま)だ。 すでに寛げられた黒部の制服ズボン、取り出された性器に食い込むように絡みついた長太い五指。 「……痛、い」 きつい体勢でキスされていた黒部が息継ぎの間に訴えれば鳶島はフンと笑った。 「お前、痛いくらいが好きだろ」 「ッ……せんぱ、い……」 普段は虚空を淡々と凝視している双眸が仄かに濡れている。 鳶島の野性的な目は自分を煽ってやまない獲物を前にして露骨にぎらついた。 「あッ」 蒼白な首筋に噛みつく。 肌身に痕を刻みつつ、黒部の全てにおいて一番素直なペニスを擦り上げる。 「この首は俺専用にすっから痕つけてやる」 深く歯を立て、うっすら滲んだ血を舐め取って、ペニスに絡めた五指を激しく動かした。 いつも何かを憂うような眼差しでいる黒部はきつく目を閉じて自分の指を噛んだ。 そんな仕草に中てられるSっ気アリの傲慢上級生。 もっと強くペニスを握りしめる。 狙いを外さない鉤爪が獲物の肉にめり込むように、強く強く、そして搾り上げるように荒々しく摩擦した。 「んッ、んッ、ンンンッ」 黒部が快楽の痛みを堪えれば堪えるほど興奮する鳶島は。 黒部の濡れ育った性器に浅く爪を立てた。 「んーーーー……ッッ」 こいつの悲鳴って最ッ高の旋律だな。 新校舎の最上階に位置する生徒会室。 放課後の空一面に広がる夕日を反射する窓。 長椅子に仰向けになった黒部は薄目がちに虚空へ視線を彷徨わせる。 右手は緩みがちな口元を押さえ、左手は股間で頻りに揺らめくその頭に添えられていて。 「六時のオヤツ」 黒部の下半身に覆いかぶさってフェラチオに及んでいるのは生徒会長の九雀(くじゃく)だ。 文武両道、才色兼備の彼はモノクロ世界の住人じみた黒部に優しく笑いかけた。 「オヤツっていうよりディナーかな」 「あ、ッ」 無駄のない捌けた舌遣いでペニスを隈なく可愛がられる。 滴る先走りを一滴ずつ丁寧に舐めとられていく。 「黒部くんのみるく、早く飲ませて?」 「ッ……九雀、さん」 「早く僕のこと満足させて」 悪戯に皮を啄まれて黒部はヒクリと唇を震わせた。 「……こんなオレのどこがいいんですか」 根元を支え、艶めく頂きを浅く咥え込んで口内抱擁に勤しんでいた九雀は色気滴る流し目で黒部を見つめた。 「そう思ってる君のことが好き」 もっと黒部を咥え込む。 溶かすように溢れる唾液を絡ませて吟味する。 整った外見とは裏腹に下品な咀嚼音を露骨に紡いで。 「あ、あ、あ……ッ」 君って本当飼育のし甲斐がありそう。 三人に魅入られている黒部だが。 実のところ黒部は管理されていた。 三人誰にも許していない、その秘められた場所を特定の人物にのみ明け渡していた。 「今日もちゃんと俺の言いつけ守ったご褒美」

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