8 / 136
スパイシースウィートホーム-8
一楓が恐れていた日がやってきた。
その名もクリスマス。
多くの人々が待ち望むイベントであるが、父親による処女喪失を案じる息子にとっては悪夢の夜でしかない……。
「やっぱり多いね」
こぢんまりしたイタリアンカフェレストランは予約客で満席、しかも周囲はものの見事にカップルのみ。
「ちょっと浮いてるかな」
ちょっと、どころじゃない。
フォーマルなスリーピースをこれでもかと着こなし、髪型は普段しないオールバックできめきめ、差し色の暖色レッド系マフラーがいいアクセントになっている。
美形度が跳ね上がったクリスマスコーデの父親に対し、無難な格好の一楓、明らかに各彼氏よりも各彼女の視線を集めている奏之が恥ずかしいやら、でもちょっぴり誇らしいやら。
特別ディナーはどれも美味しかった。
食後のデザートだって、いつも頼むカフェモカだって。
このまま終わればいいのに、一楓は聖夜の打ち切りを心から望んだ。
しかしながら。
「一楓……」
その気満々の奏之に自宅に帰るなりベッドへ持ち運ばれた、しかもお姫様抱っこで。
「これまで生きてきた中で最高のプレゼント、僕にくれるね……?」
もう、こうなったら、最後の手段だ。
こんなこと言いたくなかったけど、しょーがない、お父さんが悪いんだ……!
「お母さんが悲しむよっ?」
一楓が胸の内にギリギリまで仕舞い込んできた台詞を放てば。
ベッドに仰向けにした我が子に覆いかぶさっていた奏之は真摯に受け止めた。
「ううん。未冬さん、きっと喜んでくれてる」
息子と父親くっついて喜ぶ母親がどこにいるんだーーーっっっ。
「僕と一楓がより深い絆で結ばれること、天国にいるあの人もきっと祝福してくれるよ……?」
だめだこりゃっっっ。
とうとう一楓の恐れていた聖夜本番、到来。
「あ……っあんっ……ぁ……っ……あんっ」
念入りに時間をかけて解されたアソコは奏之を難なく受け入れた。
たっぷり、たっぷり、奥まで。
愛情深い指と舌にたんまりねんごろに可愛がられて、立派な性感帯となって、怖いくらいの快感を生んだ。
「奥、当た……っっ奥ばっか、きちゃ、だめ……っ」
暖房を点けっぱなしにして暖かくした部屋に一楓の捩れた悲鳴が延々と奏でられる。
全て曝された肌は紅潮して、汗ばんで、しっとり濡れて。
少々の痛みはあったものの、優に上回る快感に童貞ペニスの先っちょもじんわり濡れる始末。
「やだ……こんなの、やだ……っこんな、おれ……っ」
父親に処女を奪われた初セックスで感じてしまう自分自身に嫌々と涙する一楓に、奏之は、そっと口づける。
「一楓……」
同じく裸身の奏之。
根元まで我が子の胎内に沈めきって、ゆっくり、しかし最奥までしっかり突きながら、より色づいた唇で囁きかけた。
「少しキツイけれど、懐かしいくらい馴染むね……親子だからかな」
僅かに眉根を寄せ、甘やかな目許の双眸を満遍なく濡れ光らせて、優しい口調と反対に鋭いくらいの眼差しを紡いでいた。
初めて目にする美しい獣めいた表情に一楓の心臓は飛び切り跳ねた。
このまま見ていたら確実にやばい、慌てて顔を背けたが、時すでに遅し。
お父さんのこんな顔、きっと、お母さんとおれしか知らない。
つまり、今は、おれだけ……。
「ン……一楓……」
「っ、っ、っ……あ、あ、あ、うそ……っ待っ……」
「待てないよ、もう……ぜんぶ一楓にあげる……」
「ひゃっっ……おとぉ、さんの、奥きてる……っっ……これ、あつぃ……あ、あ、あ、あ……っっ」
お尻を浅く持ち上げられて最後の一滴まで打ちつけられた。
「な、中出しすんなぁ~~……っっばかーーーっっっ……!!」
「一楓……ずっと僕のそばにいてくれる……?」
「ッ……もぉ……おれ、約束したじゃんか……っ」
「もう一回約束して?」
本性は甘えたがりでわがままっこの奏之に絆されて「いる……っっいてやるばかーーーっっもぉ抜けーーーっっ!!」と投げやりキレ気味に答えた苦労性息子の一楓なのであった。
end
ともだちにシェアしよう!