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ねぇにいさんこっちむいて?/弟×兄(義理)

ウチの家族構成は余所と比べて複雑だと思う。 俺のかあちゃんは親父と離婚して、それから、父さんと再婚した。 父さんもかあちゃんと同じくバツイチで。 父さんには、すでに三人の子供がいた。 一人っ子だった俺にいきなり一人の妹と、一人の姉と、一人の兄ができたのだ。 小学校六年生だった俺は手放しで喜べずに微妙な気持ちでいっぱいになったものだ。 それから。 俺は一人の妹と、一人の姉と、肉体関係なんてものを持ってしまった。 もちろん他の家族には秘密だ。 姉妹も、ぞれぞれ、自分一人だけが俺と禁断の仲良しこよしでいると思い込んでいる。 ああ、神様、俺って鬼畜なのかな? それから。 「有亜(ありあ)更紗(さらさ)サラサと寝ているのか、潤平(じゅんぺい)?」 ばれないようにしていたつもりなのに、ばれてしまった。 「どうなんだ」 一人の兄である朔真(さくま)兄さんに。 社会人の朔真兄さんは今、マンションで一人暮らしをしていて、この家にはたまに帰ってくる。 週末、両親は遠出していて、大学生の更紗姉さんは友達と日帰り温泉に、中学生の有亜は補講のため登校していて。 俺の一人部屋で、真っ直ぐに見つめてくる朔真兄さんの視線に耐えられずに高校生の俺は俯いて正直に答えた。 「……はい、寝てます、ごめんなさい」 「……どうしてそんな」 じっと俯いていた俺は朔真兄さんの声の震えにびっくりした。 それは怒りによるものではなく、それは。 顔を上げたら朔真兄さんは泣いていた。 短髪の黒髪で耳元やうなじを露にした、いつも涼しげで、優しい、俺の兄。 『よろしく、潤平』 父さんの次に話しかけてきてくれた新しい家族。 その笑顔に、複雑な気持ちでいた俺は、新しい生活を心から迎え入れることができた。 「朔真兄さん」 泣き顔を見られまいと、壁と向かい合った朔真兄さんの背中に。 俺は抱きついた。 ああ、神様、俺はどうやら鬼畜のようです。 男である兄に欲情してしまいました。

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