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色恋本番は二十歳を過ぎてから-3

好きな人からのキスに興奮しつつも喜びより不安が勝る博晶はおっかなびっくりに了成を見下ろした。 薄目がちな了成に唇をべろりと舐められるとぎゅっと目を閉じてしまったが。 「根性無し」 また同じ文句を吐いた了成は膝頭で博晶の股間をぐっと圧してきた。 触れられて自分の勃起を思い知らされた博晶は思わずじわぁっと目に涙を溜める。 「勃ってる」 「ご、めんな、さぃ」 「見せろ」 「ええっ」 「座れ」 性的好奇心が不安を打ち負かすのに然程時間はかからなかった。 ソファの端っこにもぞもぞ詰めて、チノパン前を寛げ、もたもた取り出す。 童貞の割に剥け育って立派なナリをしたペニス。 掌で包み込んでみれば脈打っているのがよくわかる。 「あ、あ、リョウさん……っ」 博晶をゆっくりと上下に撫でながら了成は先端を浅く頬張った。 今度は口内や喉奥で彼の脈動を実感してみる。 舌上で欲望にさらに膨れていく肉塊を根元近くまであたためてやる。 「もっ、これやばい、です……っリョウさんッ……リョウさんってば……ッあ!」 博晶は肘掛と背もたれの狭間でビクリと仰け反り、あたたかな喉奥で……達してしまった。 「あ」 かろうじて視界に写り込んだ蠢く喉元。 呑まれている、そう自覚して、さらに昂ぶる全身。 「……リョウさん……」 喉奥まで招いていたペニスを吐き出した了成は相変わらず鋭く艶めく眼差しで博晶を一瞥して、言った。 「調子乗るな」 「えっ?」 「後は自分で処理しろ」 やっぱりこれってお仕置き拷問ですか、リョウさん!? すごすごと博晶が隣室へと退散して部屋に一人きりになった了成は。 「……はぁ……」 まだ彼の熱がへばりついた掌で自身を慰めた。 密かに屹立していたペニスをもどかしげに上下愛撫し、過敏に背筋を引き攣らせ、溢れてきそうになる吐息を殺す。 『……リョウさん……』 あのまま先を続けていたら。 壊れかねない。求め過ぎて。 馬鹿みたいに愛しいあの根性無しを。 「……博晶……」 1ピースのチョコレートケーキのど真ん中に無愛想に突き立てられたローソク一本。 味気ない事務所で咥えタバコの了成にお皿を掲げられて博晶はアンバランスな笑顔を浮かべた。 「わぁ。覚えてたんですね、嬉しいです」 本当、昨日のは何だったんだろう。 いきなり始まったキスとアレもだけど。 『……博晶……』 あんな声で俺のこと呼んで、リョウさん、一人で……ヌいてた。 それなら別に俺のこと部屋に追い返さなくてもよかったんじゃない!? まだまだ二人で一緒に、その、えっと、うわ、鼻血出そう。 俺、ちょっとくらい期待してもいいですか、リョウさん? 「消せよ、ヒロ」 「あっはいっ!」 自分だけが了成のエロスイッチを持っているとも知らずに博晶はローソクの火を吹き消すのだった。

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