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美しい薔薇には棘どころか牙がある-4
「は、ぁ……色んなコ、可愛がってきたやろ……こんな凄いの、みんなあんあん喜び叫んだやろーね」
「……麗人、さん、は……ッ」
「ん……?」
「あんなに強いのに……あの夜、なんで……ッ、倒れて……」
「……あー……アレ……」
ふと麗人の動きが止まった。
乱れていた前髪を無造作にかき上げて何もない虚空を一瞬だけ見据えた彼は呟く。
「失恋したけん」
そんな言葉を聞いた翔汰朗は衝動的に。
思いきり腰を突き上げた。
「ッ……!」
「ッ……すみません」
「……なん、やきもち?」
「……」
「よかよ? 翔汰朗クン、俺のこと突いて?」
肉奥でぬくぬくと温められていた翔汰朗のペニスが引き抜かれた。
一回り以上も年下である高校生の真上から身を退かした麗人はシャツのボタンに手をかける。
転々と血の付いた服をベッド下に放り投げ、身長170後半でシャープに引き締まった体を恥ずかしげもなく四つん這いにして。
見目麗しい若頭はまた翔汰朗を誘う。
「おいで?」
しっとり汗ばむ背中をあでやかに彩る龍に桜花。
「好きなだけ掻き回して、奥、だして」
麗人のナカを恋しがって熱く震えるペニスを、もう待てずに、すぐに突き入れた。
揺らめく刺青。
最奥を力いっぱい突けば命あるもののように表情を変えた。
「ン……ソコ、イイと……セックス上手やね……」
初めて夜の暗がりで出会ったとき。
あのときに負った傷はどれくらいの深さだったのか。
その肌に深く刻まれているのだろうか?
上体を倒した翔汰朗は火照る花弁に唇を重ね、興奮で震える掌を麗人の正面へ。
「ン」
掌に触れたのは……傷跡と思しき蚯蚓腫れ、複数。
下へ伝わらせていけば……熱く濡れた麗人のペニスが。
「その触り方、やらしか」
欲しい。
この人が欲しい。
俺のものにしたい。
生まれて初めてだ、こんな衝動。
「ッ、麗人さん、麗人さん……ッ」
ため息交じりに紡がれて上擦った、強烈な本能に目覚めて戸惑う翔汰朗の呼号に麗人は笑った。
魅力的な獲物を手に入れたと、そう、確信を得た。
「もっと色んな初めて、俺と覚えてこ、翔汰朗」
調教し甲斐のある若い獣に強かな唇を捧げてやるのだった。
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