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美しい薔薇には棘どころか牙がある-6

一時間ほど高速を快速に進んで市街地から随分と離れた。 これまでの人生において一度だって訪れたことのない海岸沿いの高級料亭、翔汰朗は個室で夕食をご馳走になった。 「興味ある?」 向かい側で麗人が美味しそうに飲んでいたお酒をツと掲げたので受け取ろうとしたら意地悪に引っ込められた。 「君、まだ未成年」 冷酒に淡く濡れた唇を艶やかに波打たせ、麗人は残っていた分を一息に飲み干した。 「……麗人さん、俺、いつそっちに行けば」 「ん?」 「高校、中退したっていいんで。いつ麗人さんの元に行けばいいですか」 「そんな焦らんでよかよ、翔汰朗クン」 座敷の縁側からは夜の海が見渡せた。 ほの白い月が暗い海原をほんのり照らしている。 テーブルに並んだ海の幸にあまり手をつけようとせずに向かい側で上目遣いにこちらを窺う高校生に麗人は笑みを深めた。 「そんながっつかんで?」 「……」 「親御さんがせっせと共働きしてせっかく入れてくれた学校、途中で投げ出させるのも良心が咎めるとよ?」 「麗人さんが」 「ん?」 「テキトーな道進んでテキトーに家族つくって……そういうの、もったいないって」 「あらら。覚えとった?」 「……」 からかわれているのだろうか。 でも、からかうためだけにこんなところへわざわざ連れてくるか? 時間の無駄遣いだろ。 この人は無意味なコトなんてきっとしない。 「麗人さんに全部任せます」 喉奥からそんな言葉を押し出した、男前に整った顔立ちに僅かな幼さを含ませて少し不満そうにしている翔汰朗に。 一回り以上年上の麗人はさらに茶化すような言葉を告げた。 「じゃあ次はブクブクお風呂行こーか」 次に麗人が翔汰朗を連れて行った先は天然温泉施設だった。 住宅街の外れ、川沿いにポツンと建つ二階建ての古びた建物、近隣住民の憩いの場となっていそうな親しみやすい雰囲気があった。 主人と知り合いである麗人は営業が終了した時間帯に特別に利用させてもらっているという。 開放感ある広さとはお世辞にも言えないが銭湯風のジェットバスに水風呂、サウナが備わっていた。 窓からは川を一望することができる。 無色透明、無味無臭の温泉は柔らかくサラサラした手触りだった。 当然、麗人と翔汰朗以外には誰もいない。 先程から普段よりも照明を落とした浴場に乾いた音が響いていた。 「……今はがっついてもらってよかよ、翔汰朗クン……?」 薄闇を写し出す曇った窓ガラスに両手を突いて湯船の中に立っている麗人。 しなやかに引き締まった腰を掴んでがむしゃらに律動している翔汰朗。 滑らかに濡れ渡った尻の狭間を激しく行き来する勃起しきったペニス。 細やかに収縮する肉襞に手厚くしごかれて歓喜し、先走りをふんだんに溢れさせる。 病みつきになりそうな罪深い締めつけに我を忘れて夢中になった。 「ああ……すごい……ッ」 「すごい……? 俺の奥、そんな、すごいイイ……?」 麗人の奥も、その背中も。 緻密に刻み込まれた龍に桜花が柔らかな湯を浴びて色香を増していた。 浴場に満ちた甘やかな香りが一つ一つ精巧に彫られた花弁から発せられているかのような幻想に溺れてしまう。 膨れ育った頂きを孔奥の窄まりに何度も何度も擦りつけた。 ねっとりと絡みついてくる粘膜を掻き分けて、もっと奥へ、本能を全開にして。 「俺……もう……!」 湯に温もる背上の刺青を見つめながら腰を振り乱していた翔汰朗がかろうじてそう叫べば、麗人は、紅潮して艶めく肩越しに視線を投げかけてきた。 「……溜まってたの、たんまり、だして……?」 嬌声にも似た上擦った声で囁かれて翔汰朗は堪らず達した。 無駄な肉のない尻に五指を食い込ませ、歯軋りし、麗人の肉孔奥に思う存分射精した。 「あ……ッく……!」 「ン……っ……あ、翔汰朗クン、男らしかぁ……こんなビクビクさせて……大人顔負けやね……」

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