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彼のMr.Kaleidoscope-4

『別れてほしい』 裏切り続けることに慣れていない貴志は結婚しようかと考えていた相手に別れを告げた。 『どうして?』 当然のことながら突きつけられた問いかけに答えることはできなかった。 彼女は目の前で泣いた。 脳裏に鮮明に残る彼の泣き顔と比べた自分自身に、貴志は、吐き気を覚えた。 「あ……く、っ……っ……ぅ」 こんなときに昨夜のことを思い出す自分自身にも。 ダイニングテーブルでは注がれたばかりのビーフシチューが湯気を漂わせ、グラスを満たす赤ワインが間接照明に仄暗く煌めいていた。 丹精込めて整えた食卓を自ら放置して満永は貴志を求めてきた。 「どうせ……知ってるんですよね?」 解き放たれた白濁を一滴残さず食道へ迎え、いつものように飽食の悪癖を隠しもせず、執拗にペニスを咀嚼していた満永は頭上へ視線を送った。 「貴方のせいで、俺……二年以上付き合っていた彼女と……別れましたよ」 染めていない髪は三ヶ月近くカットされていないため前髪が目元にかかっていた。 繊細な作業で酷使している割に疲弊していない凛々しい眼、でも今は熟すように濡れ切って、今にも滴りそうで。 一度触れたら病みつきになりそうな喉骨。 満永より4センチ低い身長174センチの体はそれなりにしっかりした骨組みだった。 「賢明な選択だと思いますよ」 満永の言葉に貴志は険しげに眉根を寄せた。 怒りに連鎖して舌の上でペニスが荒々しげに脈打つ。 「……あんたのせいだ……」 満永はソファに沈みかかっていた貴志に覆い被さった。 「ッ嫌、だ、嫌だって……!」 「貴志君。大丈夫。怖がらないで」 「ッ……っ痛……ッ……痛い……ッ」 「すぐによくなりますから」 初めての行いに怯えたような表情を見せながらも、用意周到な指により覚え込まされた肉奥の性感帯をさらに質量増す熱源で刺激されて。 貴志は痛々しげに仰け反った。 「い、たぃ……ッやだ……嫌だ……ッ」 嫌だと言いながら熱く締まる後孔。 頻りにソファに片頬を擦らせ、捻じれた双眸からは次から次に涙が溢れていく。 息苦しそうにしていた唇に満永がキスすると涙目で睨んできて。 後孔に埋めきった熱源を緩々と動かし始めれば全力で縋りついてきた。 「あッあッ、ッ、満永さ……ッッ」 「貴志君。ほら」 毛布に包まってソファで横になっていた貴志は億劫そうに瞬きした。 夜更けにビーフシチューを温め直している間、満永は、千代紙に包まれた万華鏡を彼に差し出した。 覗き込んでみれば百色世界。 「君みたいでしょう」 やっぱり俺には理解できないよ、満永さん。 end

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