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職業:主夫・属性:淫乱-2
ことが終わった藍は作業着を整えている若い男よりも先にリビングを出、その場で延々と立ち竦んでいた道隆を見つけると、最初はその双眸を驚きで見張らせた。
「……すみま……」
情けない声で謝ろうとした道隆に首を左右に振って台詞を中断させる。
色鮮やかな唇の前にすっと人差し指を立て、浴室の方へ促してから、段ボールが置かれたままの玄関へ宅配業者を連れて行く。
「どうもお疲れ様でした」
そうして何事もなかったかのように外へ送り出すと浴室へ戻った。
しゃがみこんで回覧板に頭を伏せている道隆にクスリと苦笑する。
自分もその隣にしゃがみ込んで小さな声で囁きかける。
「僕に幻滅した?」
道隆はおずおずと顔を上げた。
藍は下へずれていた眼鏡を直してやる。
なかなか立ち上がろうとしない青少年に、主夫は、察した。
涙まで滲ませて微かに震えている男子高校生に苦笑を深めた。
「道隆君」
「俺……こんなことするつもりじゃ……本当すみません、ごめんなさい」
「怒ってないから」
「……ごめんなさい」
すぐそばにいる藍と視線を合わせようとせず斜め下を見ていた道隆は目を見開かせた。
肌身に触れた白い手。
腕をゆっくりなぞられる。
「泣かないで」
『もっと奥がいいの……っ』
「立てる?」
『あ……ン……っ熱い……』
先程の何とも悩ましげな台詞が次から次に脳裏に蘇り、道隆は、藍の問いかけに「立てません……」と素直に答えた。
すると。
藍の手は脇腹から道隆の中心へ。
チノパンを持ち上げる昂ぶりにそっと届いた。
「ッ」
「勃っちゃったんだね。つらい……?」
家事を卒なくこなす器用な手が股間の膨らみをじれったい速度で上下した。
息が止まりそうな心地にクラクラする道隆。
さらに涙が湧いてくる。
「道隆君って……経験ないのかな、女の子と付き合ったことは……?」
「……ないです」
「……一度も?」
「……ない、です」
藍は今までで一番素直に受け答えした道隆を洗面所の壁にもたれさせた。
「あ、藍さん」
「目、閉じて……?」
「あの、そんな、俺、帰ります、帰るから……ッ」
帰ると言いながら道隆は藍の手に甘んじた。
自分より背が低くて華奢な男にいいように扱われることを内心ひどく望んだ。
藍に密かに恋していたから。
「あ……ちゃんと剥けてるんだ、偉いね」
「そ……そんな見ないで……あ……」
「……気持ち悪くない?」
「あ、あ、あ……」
言われた通り目を閉じていた道隆は天国に上るような心地に我知らず口元を綻ばせた。
なにこれ……すごい。
自分の手でやるのと全然違う。
藍さんの、あの白い手で……擦られてるなんて。
こんなのもうむりだ。
お腹が爆発しそう。
「あ」
藍はまたも目を見張らせた。
道隆のペニスが解き放ったその量に感嘆した。
細長い五指を絡みつかせた肉棒が荒々しく脈打ったかと思えば先端の尿道口から次々と弾かれた白濁の飛沫。
充血しきった亀頭を揉み上げるように集中的にしごいてやれば途切れなく。
こどもみたいにクシャリと顔を歪めた道隆のペニスはとろみある濃密粘液をたくさん放った。
「あ……藍さん……え……?」
やっと目を開いた道隆の目の前で藍は跪く。
痛いくらいの快感に支配されている性器をやんわり握りしめ、罪深い唇を大胆に開く。
「綺麗にしてあげる……ね?」
レンズの下で震えている道隆の眼球とペニスにそう囁きかけて口内に招いた。
「う」
柔らかく温かな粘膜ですっぽり包み込んでやる。
「ううう」
醸す雰囲気とは反対に下品極まりない動きで纏わりついてきた舌。
こびりついていた精液を一滴ずつ奪われていく。
宣言通り綺麗に舐めとられていく。
「ほら……綺麗になったでしょう」
優しい温もりがすぐに遠ざかって道隆は切なげに藍を見つめ、見つめられた藍は困ったように青少年に笑いかけた。
「お、俺……藍さんのこと、ッ」
今度は人差し指で唇を閉ざされた。
真っ赤になっている道隆に小首を傾げ気味にして藍は言う。
「それ以上言ったら駄目だよ……? 僕のこと困らせないでね」
……嫌だ、もう嫌だ。
ランドセルを背負ってたあの頃みたいに素直になりたい。
もう自分に嘘をつきたくない。
「…………道隆君」
掃除の行き届いた洗面所で道隆は藍を押し倒した。
「好き……です、藍さん」
「……そこで止めて、それ以上言わないで、それは気の迷いだから」
「ッ……気の迷いなんかじゃない!」
胸に秘めていた想いを貶された気がした道隆は暴走のままに……藍にキスした。
か細い両手首をバスマットに縫いつけて色鮮やかな唇に……あっという間に虜になった。
テクニックなんてあるわけがない、ただがむしゃらに舌先を突っ込ませて口内を漁ってきた青少年に、主夫は、折れた。
するりと両腕を絡ませると頭を抱き寄せて。
角度をつけ、自らも道隆の唇奥に細めた舌先を滑り込ませた。
何も知らないお隣の高校生を巧みにリードしてやる。
深く浅く繋げては唇同士をじんわり温め合う。
「ッ……は……あ……!」
呼吸も忘れてのめり込んでいた道隆は真下に組み敷いた藍相手に改めて恋を知った。
達したばかりであるはずのペニスが根元から疼き出す。
ドアのガラス越しに目撃した男の激しい腰遣い、引っ切り無しに揺れていた藍を思い出し、心臓が爆音じみた鼓動を刻む。
「……藍さんとセックスしたいです」
馬鹿がつくくらい素直になった道隆に藍は……。
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