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さようなら我が初恋-2
糸耶を抱くのは久し振りだった。
「あ……あ……伊佐男様……っ」
我が身に跨らせて好きに動くよう促してやれば、裸身となった青年は浴衣のはだけた伊佐男の腹に両手を添えて控え目に腰を振る。
ぐちゅぐちゅと、肉同士が摩擦し合う粘着質の音が結合部から溢れ出る。
「あ……ん……」
薄闇に淡く光る柔肌が汗でしっとりとし、触れれば指の腹にひたひた吸いついてくる。
乱れた黒髪が片目を多い、唇に伝っているのが艶めかしい。
本人の意思など関係なしに他者の独占欲を煽る眼の片方はうっすら濡れていた。
「……そんなに……見ないで……くださいませ」
実の父親から同衾相手に股を開くよう仕込まれているはずの糸耶は、涙まで溜め、項垂れた。
馬鹿馬鹿しい……。
つい先ほどの自分を、伊佐男は、死ぬほど愚かに思った。
こうなることを望んで糸耶が出てくるのを待っていたくせに、何でもないように振舞い、その場を去ろうとした。
糸耶から誘うよう仕向けた。
いつまで経っても俺は臆病者だ。
「……あ」
伊佐男は糸耶の腕をとって引き寄せた。
火照った頬に両手を宛がい、深く口づける。
強張りがちな舌先に巻きついて唾液を溶け合わせる。
「んぅ……んっ」
無精ヒゲのある伊佐男の顔に滑らかな肌が擦れ、ざらりとした感触が走る度、糸耶は切なげに呻吟した。
動くのも忘れて口づけに夢中になる。
一度屋敷から去ってしまった、もう二度と戻ってこないと思っていた、愛しい男。
その熱を全身で痛感した。
「んん……伊佐男さ、ま……」
唇を交えながらも呼号してくる糸耶に伊佐男は滾り、少々荒く真下から突き上げた。
柔らかな尻の肉を揉みながら孔の奥を膨れきった亀頭で穿つ。
「あぁぁ……ん……っ」
糸耶は堪らず仰け反った。
「あ、あ……だめです、そんな……伊佐男様ぁ……」
尻たぶに五指を食い込ませて糸耶自身を揺らしつつ、激しい上下運動に集中して及んでいたら。
糸耶は伊佐男の真上で白濁の迸りを弾いた。
互いの肌がさらに卑猥に濡れる。
きつく締まった肉奥に何とか持ち堪えながら、伊佐男は、最初の絶頂に無防備に表情を蕩けさせた糸耶に見惚れた。
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