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それは秘密の-3

人気のない県道から逸れて外灯の乏しいさらに物寂しい脇道。 舗装されていない、落ち葉の降り積もった道端に停められたセダン。 「ん……っ……っ」 バックシートに移されたスクールバッグ。 助手席に移動した修司の真正面に窮屈そうに座った絢彦。 学ランの前ボタンは全て外されて、シャツのボタンもいくつか外されて。 蔑ろにされたベルト。 全て下ろされたファスナー。 外気に覗いた下着の上から硬くなりつつある性器をゆっくり愛撫する手。 「絢彦君、彼女は?」 「っ……いない、彼女なんて」 「もてそうなのに」 「別に……」 おじさんの手。 やっぱり気持ちいい。 「あの頃は、ね」 「え……? あ……」 皮を纏ったままの性器が外気に取り出されて汗ばんでいた絢彦の頬はより赤くなった。 「君はまだ精通してなかった」 何度か「秘密の遊び」をした二人。 二週間後、休みをもらっていた修司が再び海外に戻ったことで不謹慎な繋がりは終わりを迎えたはずだった。 それからは海外を行き来する多忙な友達の父親と会う機会などなくて。 小学校二年以来の再会で「秘密の遊び」にやはり夢中になってしまった絢彦はもぞりと修司を見上げた。 「まだ……してない」 「そうなんだ」 ゆっくり、皮ごと、しごかれて。 途端に綾彦は深く項垂れた。 ぷるぷると震え出す内腿。 目尻に滲んだ涙。 人気がないとは言え屋外、狭い車の中で密かに再現される「秘密の遊び」に逆上せそうなくらい発熱していく。 「今日、できるかもね」 「っ……しなくていい、しない……っ」 「どうして? 怖い?」 もっと足を開かされて。 今度は皮がずれるくらい強めにしごかれた。 「っ、っ……怖くない……」 「じゃあ、しよう?」 「わ、かんな……っ」 「前みたいにムズムズする? 気持ちいいかな」 自分の指を噛んだ絢彦はコクコク頷いた。 下半身から全身を容赦なく蝕む甘い戦慄に身を委ね、真後ろの修司に深くもたれた。 「おじ、さ……ん……」 指を差し出されると素直に吸った。 前と同じように甘噛みして、タバコの匂いを飲み干した。 股間で規則的な律動を始めた掌に過激な熱を与えられて。 背筋を引き攣らせて、本気で指を噛んで、行き場に迷った手で学ランをきつく握りしめて。 「ぅーーー……っっっ」 生まれて初めて絢彦は射精した。 まだ幼さの片鱗を残す体。 精通にぐったりして弛緩して、震え、前よりも無防備に身を預けてきた少年。 「……あ……?」 修司に抱き抱えられて、向きを変えられて、彼と向かい合うことになった絢彦は。 気怠そうに彷徨っていた視線が異変を来たしているソコに自然と吸い寄せられて、ぶるりと、濡れていた双眸を波打たせた。 「……それ、って」 「うん」 「……たってる」 「そうだね」 チノパンを盛り上げる大人の証に絢彦は目を逸らすどころか釘付けになる。 ぎこちなく手を伸ばして。 盛り上がった場所に触れてみた。 「あ……かたい……」 乱れた学ラン姿で、まだ射精の余韻を引き摺ってどこか眠たげな、とろんとした目つきでそう呟いた綾彦に。 修司は欲情した。 小柄な肢体をさらに引き寄せると、片手で器用に服を緩め、勃起しかけているペニスを取り出す。 精通したばかりで余熱を持て余す性器にくっきりと括れた隆起を擦りつける。 片手で纏め上げ、そのまま一緒にしごく。 「っ、おじさん……痛い……」 「ちょっとだけ……我慢してくれる、絢彦君」 これまでに聞き覚えのない切羽詰まった修司の声色に絢彦の胸底はジンジン疼いた。 たどたどしく目線を下ろしてみれば成長しきったペニスと皮が捲れかけている自分の性器が縺れ合っていて。 先端から溢れてきた修司の先走りが自分自身にまで滴って、彼のもので濡れて、しごかれる度にクチュクチュと音が鳴って。 触れ合う刺激に勝手に腰が揺れた。 タバコの匂いが移った舌の先まで疼いた。 「見てるの……?」 卑猥に擦れ合う様に視線を奪われていた絢彦は耳まで真っ赤にして思いきり顔を背けた。 「いいよ、見てても」 「っ……見な、い……っ」 「絢彦君……こっち見てごらん」 見たらどうなってしまうのか。 「っ……見たくないっ……っ……!」 強引に顔の向きを変えられて、綾彦は、修司にキスされた。 ぬるりと口内にやってきた舌先。 疼いていた舌を舐められて喉元が過剰にヒクついた。 「ぅ……ぷ……っ……ぅ」 初めてのキスだった。 犯されるみたいに唇の奥を虐げられて、掻き回されて、ぎゅっと目を閉じた絢彦は息苦しそうに呻吟した。 そもそも修司自身のモノを目の当たりにすること自体が初めてで。 苦しいのに。 気持ちいい。 初めてのおじさんにゾクゾクする……。 「僕もいっていい……?」 唾液で繋がる唇でそう問いかけてきた修司に絢彦はどう答えたらいいのかわからなかった。 あどけない顔つきでただ見つめてくる少年がさらに物欲しくなって、修司は、濡れそぼった唇にまたキスをした。 大人とこどもの中間地点にあるアンバランスな彼に夢中になった。 「明日、また会いたいな」 「……」 「嫌?」 「……別に……いいけど」 飼い犬の散歩をしていた滋生は足を止めた。 遠回りをして、最近会えなくなった友達とばったり会わないかと、塾帰りの時間を狙って彼の自宅マンション付近までやってきてみたら。 父親の車から降りる絢彦を見つけて首を傾げた。 「絢彦、なんで俺のおとーさんと一緒いんだろ、ポチ」 尋ねられたポチもクーンと首を傾げる。 見慣れたセダンが走り去るときは電柱の裏に隠れて。 会いたかったはずの友達が曲がり角を曲がって見えなくなるまで車を見送ってからマンションのエントランスを潜るのを遠目にして。 二人が手の届かない遠いところにいるように感じられて近づくことができなかった。 今見たことは誰にも言ってはいけない「秘密」のような気がした……。 end

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