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白衣なアルデヒド系-4
「教授、おくすりの時間ですよ」
「……だるい……飲ませろ……」
まだおくすりも飲んでいないのにソファでだらーんとしていた教授に葛西は寄り添った。
白い紙袋から取り出したPTP包装、必要な錠剤を外からぐっと押し出して掌に乗せ、指先に摘まみ、教授の冷たい唇に運んで押し込む。
常温のミネラルウォーターをペットボトルから口に含んで寝そべる由利に口移しすると。
殆ど流れてしまった。
「へたくそ」
「すみません、もう一回ですね」
そうして由利におくすりを服用させて、ソファに座って膝枕し、イイコイイコするように髪を優しく梳いてやる。
「ふわぁ……」
「おやすみなさい、教授」
「……寝んなよ、葛西……勝手にどっか行くなよ」
「寝ませんし、どこにも行きません、僕の居場所は教授のそばだけです」
「ほんとかよ」
「ほんとです」
「どこにも行かない?」
「行きません」
「……嘘つき……舌抜かれて死ね……」
「あ、嫌なこと思い出しましたね? ほら、寝ましょう? おくすり増やしますか? もう一つ飲みましょう」
教授、全壊したらいいのに。
※ホルムアルデヒド (Formaldehyde) は有機化合物の一種で、最も簡単なアルデヒド。毒性は強い。
「ほら、教授、おそろいです」
「……」
「出血死しないよう、病院のすぐそばでやって、駆け込みました」
「あはは、お前最高……昼、好きなモンおごってやるよ、葛西」
教授とランチ、嬉しいです。
ホルマリン固定液を廃棄するときは容器の蓋を少しずらし、中身が落ちないようにして、廃液用タンクに注ぐ。
どさり
容器を斜めにしているわけだから、廃棄しきろうとすると、ずらした蓋に中身が落ちてくる。
蓋越しに掌に伝わる重み。
教授のも同じくらいだろうか。
切り出して包埋して染色して顕微鏡でじっくり覗いてみたい気もする。
だって教授のことが大好きだから。
骨の一片すら誰にも触らせたくないし。
血の一滴だって取り零したくない。
ちなみに葛西の自慰ネタは由利殺害妄想(ry
「……頭痛い……もう死にたい、俺」
「いつでもどこでも補佐します、教授」
そして教授はbもBも丸ごと永遠に僕のもの。
end
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