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いろいろツイてるリーマン彼氏-4
「だから……ッ暖房くらいいれさせろッ」
「時間がもったいないよ。コートも着てるし大丈夫でしょ」
「こんな……こんな……」
薄暗いままの冷え切ったリビング。
廊下の明かりがドアにはめ込まれたガラス越しに頼りなく差し込んでいる。
コートを纏ったままソファに座った二人。
真後ろに腰を据えた薫に背後から抱きしめられている芳近。
速やかに蔑ろにされた下肢の服は太腿までずれ落ちていて。
露出した股座に深く差し込まれた恋人の利き手。
内壁がざわめく膣孔を抉じ開けて根元まで突き立てられた中指と人差し指。
二本の指が肉奥で緩々と蠢く度に薄闇に微痙攣する半勃ちのペニス。
「二本、奥まで挿入るくらい柔らかくなったね……」
耳たぶに添えられた唇は甘い囁きと、時に甘噛みを刻みつけてくる。
「毎日ほぐしてあげた成果だね? 芳近クン?」
「うるさ……い、毎晩毎晩、偉そうに……っ経験豊富だからって、調子に、乗るな」
途切れがちな毒ある台詞に薫は目を見張らせた。
「前にも言ったよね? 俺、軽そうに見えるらしいけど? 実際お付き合いしたのは三人で? 壁を乗り越えられなくて話し合って別れて今に至るって? それから調子に乗ってるワケじゃないし? いつ俺が偉そうにしてたのかな?」
「……だって……」
「だって、なに?」
芳近は薫の片腕に片腕を絡ませてコートに爪を立てた。
心外だとでも言いたげな顔でいる彼の、股間に差し込まれた手に革手袋をした手を力なく添え、呟いた。
「実際、うまいじゃないか……もう、こんなに、拡げて……それに痛くない……」
熱く濡れ渡る粘膜でしなやかな指をきつく挟み込み、上擦る声で紡がれた呟きに、薫は素直に喉を鳴らした。
「芳近クン」
「……お前、今まで我慢してたのか、薫」
「え?」
胸の鼓動を加速させて、薄目がちに、芳近はすぐ背後に迫る薫を見つめる。
「男の俺にお前は満足できていなかったのか」
毎日、恋人の慣れた手つきに夜な夜な開発されていった。
未知なる快楽を教え込まれて強烈な絶頂に打ち震えながらも、芳近は、ずっと気になっていた。
「本当は、お前は……ずっとコッチを求めていたんじゃないのか……?」
恋人の一部を呑み込んでどうしようもなく疼く亀裂を薫の手の上からなぞった芳近。
「やっぱり、お前は、」
芳近は目を見開かせた。
初めて我が身に突き進んでこようとしている三本目の指に背筋を強張らせた。
「む、むりだ、薫」
「俺が求めてたのは、求めてるのは、君だけだよ」
「い……痛い……」
「君とならどんな壁だって乗り越えて……うん、ぶっ壊しちゃえそうだし」
薫はもう片方の手もビクつく内腿の狭間に滑り込ませた。
「痛いならもっと濡れて?」
糸引く蜜に隈なく塗れていたクリトリスをそっと撫で上げる。
「あッッッ」
「俺が濡らしてあげる」
「だめ、だ、同時にされたら、」
膣奥の粘膜をグリグリと撫でながら肉芽を小刻みに指の腹で擦る。
「んッッッ」
前ボタンが全て開かれたコートを肩から滑り落とし、ぎこちなく開いた足を引き攣らせ、ハイソックスに包まれた爪先まで強張らせて。
芳近はさらに濡れていく。
「君じゃなきゃ、芳近クンじゃなきゃ、俺、嫌だよ」
二本の指を咥え込んだ亀裂から滲む蜜を掬い、なじませ、薫は三本目を捻じ込んでいく。
「や……め……ッッ」
「大丈夫」
「……か、お、る……」
「気持ちよくしてあげる」
張り詰めた突起を甲斐甲斐しく愛撫しながら膣孔をより拡げて。
慎重に進められる拡張に芳近はビクビクと震えが止まらなくなる。
「……こわ、い……」
「怖くないよ? 大丈夫だよ……?」
「んっ……お前の指で、いっぱい、ひろがって……」
「ナカ、もっと熱くなった」
「は、あ、あ……っぅ……ン……」
「こっちもよくしてあげるね」
クリトリスへの愛撫をやめ、先走りが溢れ始めていたペニスを、しごく。
「どっちでもいって?」
「ぅっ……ぅっ……ああ……あああっ」
三本目の指がしっかりナカまで挿入ったところで、おもむろに開始された、浅い出し入れ。
同時に性感帯が集中する先端をじっくり擦り上げられる。
止め処なく打ち寄せてくるような快楽の波が全身に満ちる。
「ッ……ッ薫……ッッ……!!」
限界まで薫の指を締めつけて、薫の腕の中で、芳近は射精した。
愛しい指に包み込まれたペニスから白濁の飛沫を迸らせた。
目尻に涙を溜め、また新しく教え込まれた絶頂に感極まる芳近に、薫は背後から頬擦りする。
解けかけたマフラーを首元に引っ掛けて。
「俺の好きな人はね。芳近クン。他の誰でもないんだ」
「あ、芳近クン!」
男子トイレに入った芳近は洗面台で手を洗っていた薫を見つけて青ざめた。
「おつかれさ、」
「嫌だ!無理だ!もう絶対お断りだ!」
「ん、どしたの、尾野、えらく騒いじゃって」
「ッ……すみません、いらしたんですね、リーダー」
「なにがお断りなん?」
「お疲れ様です、出直してきます」
「あ、おーい、尾野……デリケートだな、あいつ、他人がいたらできねぇタチか」
「あははーそうみたいですねー」
「ヘラヘラすんな、初瀬ェ、だらしのねぇ」
「リーダー、俺に厳しい」
「チャラいの嫌ェなんだよ」
「俺チャラくないですもん!」
いつか薫と。
ココで繋がる日が来るのだろうか……?
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