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家事を捨てよ主夫に情事を-2
上司の家に招かれて他の同僚とお邪魔したときに僕はその人と出会った。
「はい、どうぞ」
鍋を囲んだ食事中、つい手元が狂ってワイシャツの袖口を汚してしまい、しまったと思っていたら。
横合いからすっと水で濡らして絞られた布巾が差し出された。
思わず視線を奪うくらい、腕捲りされて外気に曝された白い肌。
「しっかり者そうに見えて、田中君、意外とおっちょこちょいなんだね」
上司の夫、その家の主夫である秋生さんはそう言ってくすっと笑った。
その瞬間に僕は恋に落ちてしまった。
禁じられた奈落の恋に。
田中皐月(25)は今現在、とても上機嫌だった。
何故ならば。
ぴちゃーん
「……とってもいい湯だね、皐月君」
禁じられた恋仲にある秋生(34)と不倫旅行の真っ最中、部屋風呂でしっぽり一緒に入浴中だから、だ。
檜の香り立ち込める浴室は雰囲気高まる橙の明かりが点されて、なんとも大人贅沢なムード。
源泉から引かれている湯をなみなみと溜めた檜風呂で肌を寄せ合い、丁度いい湯加減に心身をゆったり休ませる。
こんな幸せ、他にない。
「なんだか夢みたい」
皐月の胸に背中からもたれてお風呂に浸かっていた秋生がぽつりと言う。
皐月はざばりと両腕を上げると、おもむろに、秋生を抱きしめる。
「夢じゃないですよ」
「うん」
「静かですね」
「そうだね」
「僕と秋生さん、この世界に二人っきりみたいですね」
皐月の言葉に秋生はくすっと笑う。
微弱な振動が肌伝いに伝わり、皐月は、もっと秋生を感じたくて濡れた首筋に頬擦りした。
「……お風呂ではしちゃだめだよ」
「しましょう?」
「ん……だめ」
「ケチ」
「……皐月君、なんだかいつもより子供っぽい」
秋生は首筋を反らしてそっと皐月を見やった。
一見して真面目そうな黒髪の好青年に少し照れくさそうに微笑みかける。
「お風呂の後は……いっぱい、していいよ?」
行灯風の間接照明のみに照らされた和室。
窓際の障子が月明かりに仄白く染め上げられている。
「あ……ふ……っ」
上擦った甘い声が畳上に敷かれた布団の真ん中で零れ落ちた。
「……んっ……ふ…………」
斜め後ろに座る皐月に唇を奪われる秋生。
彼の浴衣は大胆に肌蹴られて、薄闇に白い肌を、平らな胸に二つ咲く突端の花弁を露にしていた。
湯の温もりを残す皐月の両掌に、まるで女性の胸を揉むような手つきで、じっくり揉みしだかれて。
人差し指と中指の第二関節狭間に乳首を捕らわれて、小刻みに擦り上げられる。
「ぷは……っぁ、っ……皐月くん……」
「秋生さん、おっぱい敏感ですもんね」
「お……おっぱいじゃ……」
「だって女の人みたいに乳首、ほら、つんつん尖ってますよ?」
つんつん尖りを帯びて膨らんできた突起を指の腹できゅっと摘まみ、やんわり、しごく。
「ん……だめ……おっぱい、いじっちゃ、だめ……」
「主夫のおっぱいってみるく出ないんですか?」
皐月は体の位置をずらすと、片方の乳首をしごきつつ、もう片方の乳首にちゅっと口づけた。
勃起突起を舐め濡らす。
尖らせた舌端でしごいてやる。
「あ、あ、あ……ちくび……すごく感じる……」
皐月の唾液で濡れた唇を緩々と開閉させ、秋生は上擦ったため息を洩らす。
「みるく、出ませんね」
「ん……皐月君……冗談も程々にしなさいね……?」
「こっちのみるくはどうですか?」
「ん……!」
濃紺の帯で締められたウェスト下、浴衣でかろうじて隠れていた股間に片手を突っ込めば、すでに火のついた火照りの感触。
「キスとおっぱい揉まれただけで、もう、濡れかけてますね」
「やっ……」
「本当、いやらしい人ですね、貴方って」
限界まで伸ばした舌で乳首を蹂躙するように転がしながら、皐月は、秋生のペニス表面をゆっくり撫でる。
もっと発熱させようと掌で亀頭を包み込んで優しく揉みしごく。
「ん、そこ……ん……っきもちいい……もっと……もっと皐月君のおててで……かわいがって」
「おててだけでいいんですか?」
皐月に聞き返されて秋生はごくっと喉を鳴らした。
腫れ物のようにぷっくりしてきた乳首に執拗に唾液を塗りつけてくる皐月に、震える声で、強請る。
「皐月君の……お口で……私のペニス……かわいがってくれる……?」
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