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あるタクシー運転手の悲劇/リーマン×青年ドライバー

「お客さん、着きましたよ?」 呂律の回らない口調で指示された目的地に着いてみれば、案じた通り、会社員と思しき客の男は後部シートで完全に眠っていた。 ああ、もう、面倒くさいな。 まぁ、吐かれなかっただけマシか。 「お客さんってば」 「ん~」 「降りてくださいよ、着きましたから」 運転席から身を乗り出して声をかけても、むにゃむにゃと寝言が返ってくる始末。 タクシー運転手の水野(みずの)は腕を伸ばして男の肩を揺すってみる。 ……反応なし。 ああもう、面倒くさい! 水野はシートベルトを外して一端外へ降り立つと、後部座席のドアを開け、男を外へ引っ張り出そうと試みた。 「お客さんってば……」 ぐいっ。 眠っていると思っていた男にいきなり腕を掴まれて、華奢な水野は、路上から車内に引き擦り込まれる羽目に。 「ん~マホちゃぁん」 げ、こいつ、酔っ払った余り、俺を女と間違えてやがる。 「お客さん、勘弁してくださいよ、俺は……」 「おれ、だって、かわいい~」 うわ、酒くさ! 狼狽する水野は男にキスまでされて目を白黒させる。 「むぅっ、ふ、ぁっふ」 アルコールで温められた熱い舌に口の中を引っ掻き回され、唾液をじゅるじゅる吸われ、水野は真っ赤になった。 水野より上背のある男は簡単に狭い後部座席に彼を押し倒し、自分でドアを閉めて、酔いのせいとかではない、元から細い切れ長な眼に明け透けな色情を浮かべて瑞々しい唇を啜りまくってきた。 タクシー会社の制帽は下に落ち、深緑のブレザーや臙脂のネクタイを乱され、挙句の果て、スラックスにまで男の手が届き、水野は嫌々と首を左右に振った。 「ちょっと、胸触ってわかっただろうが、俺は男だって!」 「ん~、だって、マホちゃん、Aカップじゃない。何ですか、今更」 「あ、クソ、じゃあ、これならどうだよ!」 水野は男の手を懸命に退かすと、自らスラックスと下着を一緒くたに膝上へと下ろした。 現われたるは完全なる男物の性器。 どうだ、このクソ酔っ払い、恥掻きやがれ、バーカ! ところが、顔面蒼白になるどころか、より喜色満面に近い表情へと変わった男に、水野は愕然となった。 「マホちゃん……念願のバイブ、つけてくれたのね」 ……どんな変態なんだ、こいつもマホちゃんって女も!! 「うわ、すごくリアルじゃない……血管なんか浮かんじゃって。女の子がおちんぽつけるなんて、最高にエロいよね……どれどれ」 そう言うなり、男は何の躊躇もなしに水野のペニスをぱくりと頬張った。 「ひゃあ……っ」 予想できなかった展開に油断していた水野は首を窄め、つい、甲高い声を迸らせる。 「何、これ……感触まで本物そっくり。高かったでしょ……おにいさんがいっぱいご奉仕してあげるからね、んっ」 うわうわうわ! 深々とくわえ込まれたかと思うと、上顎をつかった、濃厚なフェラチオが始められる。 萎えていたペニスは熱い舌から熱心な愛撫、上下の唇に激しく貪られ、一気に勃起した。 「あぁん、お客さ、ん、ちょっと、もぉ……!」 「お客さんかぁ。ま、確かにお客さんだけどさ、ぼくは。いい加減、和晃(かずあき)って、名前で呼んでほしいな」 唾液に塗れた亀頭を片手でぐちょぐちょ擦りながら、伸ばした舌先でカリ首を舐め回し、男はため息をついた。 一段と塩気の強い尿道に細めた舌尖を埋めてぐりぐり刺激してくる。 「ひぁぁんっ、やぁっ」 「おいしいよ、マホちゃんのおちんぽ……」 でも、そろそろぼくのおちんぽも限界だから。 合体しちゃおうか、ね、マホちゃん? 「穴っ穴がっ、ないだろうが!」 「あなぁ~? 何言ってるの、あるじゃない、ここにさ」 涙目で嫌々と首を振る水野に満面の笑みを浮かべて、華奢な体を背中から押さえつけた男は、立派なイチモツをぴとりとそこに宛がう。 「アナルセックス、好きでしょ?」 狭苦しい肉の孔を抉じ開けて男のイチモツが水野のアナルに入ってきた。 「ひぃっ」 「……何々、初々しい声出しちゃって。今日はサービス満点じゃない?」 ううううう、この変態、鬼畜、ど変態男!!!!! 「じゃあ、ぼくもいっぱいサービスしちゃおうっと」 男は腰元を力ませて肉壁の奥へと屹立した一塊を一息に突っ込んだ。 「ひぁぁぁ~……」 シートに頬を押しつけて水野は悲鳴を上げる。 白手袋を纏った手で、ぎゅっと拳を握って、ぱくぱくと口を開閉させた。 着崩れしたスーツを着たまま、スラックスの前を寛げてペニスを取り出していた男は、すぐ頭上に迫る天井にぶつからないよう、ぴたりと水野に覆いかぶさる。 そうして容赦ない腰つきでぱんぱんと水野を突き上げてきた。 「あっああっぁっぁっぁっやぁ、んっ、は……ぁっ」 先走りで濡れた男のペニスががつがつと最奥に叩きつけられる。 艶めく黒髪は乱れて水野の片目にかかり、肌は汗ばんで、曝け出された双丘がしっとりと湿り気を帯びていく。 「あ~……気持ちいい、気持ちいい……」 男は歌うような、うっとりとした声で呟き、下肢を暴力的に動かして水野を揺さぶった。 「あ~もういっちゃいそ……濃いの、たっぷり出してあげるよ~……」 「ああっひぐっやぁっだめ、いやっ、やだっ」 「ええ~いいでしょ~?」 「やらぁ、らめぇっ」 ぱんぱんぱんぱん突っ込まれて、いつの間に自身のペニスから男と同様の先走りを散らしながらも、水野はそれだけは譲らなかった。 「……うーん、仕方ないなぁ」 ラストスパートといわんばかりに腰を荒々しく振り立ててきた男に水野は仰け反る。 後孔を蹂躙されて、肉壁を肉棒で掻き回されて、ぐちゃぐちゃにされて、水野は、とにかく早く解放されたいがために、自分も腰をくねらせた。 「お、いいね~」 男は口元を卑猥に歪めて、狐目の眼を瞬かせ、焼酎の味が残る上唇を満足げに舐め上げた。 さらに腰を突き出して肉奥を抉るようにピストンする。 「ああっああんっあんっいくぅっいっちゃうっ」 ぞくぞくと背筋を震わせて、水野は、ぐらつく思考でありながらも携帯しているハンカチを咄嗟に股間へ。 迸った白濁の精液は柔らかな布地に受け止められて、花柄のハンカチを、卑猥に濡らした。 「ああっ、ぼくも、出る……っ」 達したことで締めつけが狂的に増した水野の中に呻き、男は、奥を擦り上げていたペニスを引き抜いた。 項垂れていた水野の頭を上げさせて、支えるや否や、弛緩していた口元に怒張した肉棒を……。 「うっ……!!」 男は顔射した。 唇上へ放たれた白濁に水野は呻吟し、その苦味を、屈辱を、朦朧とする意識でありながらもはっきりと感じたのだった……。 三時の打ち合わせに間に合うよう、外用ですでに社外へ出ていた和晃は表通りへ移動して、タクシーを探す。 お、来た来た。 すらりとした体型の和晃は腕を伸ばして、最初に視界に入ったタクシーを呼び止めようとする……。 「うわっ」 タクシーはスピードをまるで緩めず、違反ぎりぎりの猛スピードで車道をやってきたかと思うと、和晃のすぐ眼前で急停止した。 何か荒そうな運転手だな。 まぁ、いいか。 後部座席の扉が開かれ、和晃は小脇にポールスミスのバッグを抱えて車内に乗り込んだ。 「○○町の○○ビルまで」 「……」 ちらりと運転手が振り返った。 制帽を目深に被っており、目元はわからない。 いやに瑞々しい唇が「……わかりました」といやに低音の声を紡いだ。 若い運転手だな、俺より年下っぽい。 無愛想な奴だな、でも……何だろう。 誰かに似ているような……。 ああ、違反ガールズバーのマホちゃんにーー。 「お客さん、面白い話、してあげましょうか」 そうしてタクシーは日の光溢れる街路を走り抜けていく。 end

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