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サンタのあのコは今宵しも-4

寝室の静けさが乱される。 「ぁぁ……っん、ぃや……っやぁ……っ」 シーツに後頭部を埋めた霙の緩んだ唇からは上擦った嬌声が。 彼の滑々した太腿の狭間に顔を沈めた透の口元からは、熱芯に絡みついた舌先による、淫らな前奏が。 クチュ…… 「とおる君、きたない……そんなとこ、きたないよ……」 「汚くない……綺麗に色づいてる」 霙はもどかしげに仰け反った。 義務付けられている女子向けランジェリーを片方の太腿に引っ掛けて、透の口腔に深く捕らわれて、少年サンタはひくひく感極まる。 「だ、だめ……こんなの、初めてなのに……っ初めてなのに……っ」 初心な霙に透は興奮が止まらない。 口の中で可憐に息づく熱芯を強めに吸い上げ、何の迷いもなく、透明よりも濃厚な雫を強請る。 「あ……っだめ……っ!!」 全身を痙攣させた末に霙は達してしまった。 喉奥に放たれた濃厚なる白濁雫を飲み干し、身を起こせば、透の視界に写ったのは足を力なく開かせたまま絶頂の余韻でぴくぴく震える無防備な霙の姿で。 我慢できない。 「……あ」 甘い眩暈から目が覚めて、霙は、透が服の狭間から取り出してみせたペニスに……思わず息を呑んだ。 手首をとられ、触れるよう促されると、怖々と握ってくる。 掌に覚える透の逞しさに胸の鼓動が加速する。 「ちゃんと触ってみて……?」 「……こう?」 「……そう、上手だよ」 「……どんどん硬くなってく、とおる君……」 好奇心に誘われて霙はペニスの先端をチュク……と仔猫のように舐めてきた。 途端に眉根を寄せて快感に微かに歪んだ透の顔色に、どきん、どきん。 「とおる君……きもちいい?」 じっと上目遣いで見つめられて先端ばかりをチロチロ舐められ、透の我慢は、最早ここまで。 また霙をベッドに押し倒すと先程よりも大きく両足を開かせた。 薄闇に曝された蜜孔に、ぬるりと、熱く熟れきったペニスを押し当てる。 「と、とおる君……優しくして、お願い……」 果たしてそのお願いを守れるのか、どうか。 「ぁ……ッあ……ッあん……ッ」 霙の甘く濡れた吐息がずっと繰り返されている。 「ぁ、ぁ、ぁ……っこわれ、ちゃ……っ」 「壊れる? どうして……?」 「きもち、よくって……ぼく、こわれちゃう……」 蜜孔をゆっくり行き来するペニスに身も心も蕩け落ちそうな霙、半開きのまなこで透を切なげに見つめてきた。 熱源全体に肉の膜が密着してまるで搾取さながらに小刻みに蠕動している。 動かなくとも下半身を官能的に刺激してくれる。 「俺も気持ちいいよ、霙」 本当は思いのまま貫いて激しく突き揺さぶりたい。 でも、そんなことをすれば、この華奢な体は本当に壊れかねない。 眠り続けていた愛しい記憶、思わぬ再会、成就されゆく初恋。 大切なすべてを台無しにしないためにも、透は、ずっと我慢していた。 そんな愛する人の葛藤に気がついた霙は。 「とおる君……ほんとに……きもちいい?」 ……いいよ? ……ぼくのこと、とおる君の好きにして、いいよ? 「霙が感じてくれさえすれば俺は十分だから」 健気で一途な霙の額にキスを落とし、透は、おもむろに体位を変えた。 霙を我が身に跨らせて自分は仰向けに。 体中を発情させて快楽に身を委ねる霙をじっくり見上げながら、ニーソに包まれた太腿に片手を添え、前後に揺らめかせる。 「あ……奥で、擦れて……っ」 弓なりに背中を反らした霙を同時に突き上げる。 最もとろとろに潤う熱芯を片手でクチュクチュと愛撫する。 「あ……!」 「……締まったね、気持ちいい?」 「ぃぃ……っとおる、く、ん……っまた、ぼく……っきちゃぅ……っ」 「いいよ、俺の上でいってごらん」 やや速度を上げて突き上げ、少し強めに愛撫していたら、霙は……素直に達した。 思いきり締めつけが増し、限界までその濃密なる居心地を堪能して、絶頂を予感した透は。 「…………あ…………」 とろとろに濡れそぼつ霙の熱芯に向けて思う存分、絶頂を解放しきった……。 「君は俺をずっと見守ってくれていたんだね」 自分の嗜好や身辺を知っていた愛しいサンタ。 「もっと早く会いにきてくれたらよかったのに」 「……サンタは、本当は、普段は人との接触を禁じられているから」 クレームが来たり、決まり事を破れば、サンタの里から追放されてみんなのサンタじゃなくなる。 「だから……もう……」 「それなら追放されたらいい」 「え……?」 これからは俺だけのサンタになってくれないか、霙。 「……うんっ」 イブの夜にクマ太郎の前で透と霙はケーキを食べながら初恋を永遠の愛へと変えた。 end

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