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キミの女装に乾杯!!-2

侑月は残業に追われ二十分遅刻して指定の居酒屋へ到着した。 「そんなに焦らなくていいよ、先に飲んでいたから」 カウンターについていた諸岡は、ドタバタ駆け込んできた慌てん坊の侑月を嫌な顔一つせず迎え入れた。 それから小一時間ほど仕事の話と本日のオススメを肴にビールやハイボールを飲んだ。 「あーーっ、諸岡課長っ、グラス空いてますよ!?」 「僕はもういい。君のグラスだって空いてる、すみません、飲み物の注文を」 「あっ、スミマセンっ、じゃあハイボールを!」 普段から接待やら懇親会でアルコールを嗜んでいる侑月はほろ酔い気分で諸岡との飲み会を楽しんだ。 「せっかくだし、二次会、行こうか」 まさか二次会まで提案されるとは思わず、人付き合いのいい侑月はすぐさま頷いた。 「はいっ!!」 それが、まさかのまさか。 「どうぞ、すぐに暖房つけるから」 「きょ、恐縮です、諸岡課長……っ」 諸岡のマンション自宅で二次会開催とは夢にも思わず、さらにテンションが上がった。 「その恰好だと窮屈だろう。これに着替えたらいい」 えっ、すごいっ、なにこのおもてなし精神、見習いたいです!! 諸岡から手渡された着替え一式というのが。 実のところセーラー服であったのだが。 おもてなし精神どころか緊張が和らぐジョークまでかましてくるなんて、さすが気配りの達人……!! 侑月はなんっっの疑問も持たずに意気揚々とセーラー服に着替えたのだった……。 「この丈! しゃがんだらパンツ見えちゃいますよ! 課長ってば意外とスケべなんですね!」 課長宅にお招きされてすっかり調子こいたテンションの侑月は、脱衣場で着替えを済ませてリビングに戻るなり無礼講発言をかました。 冬場において夏物セーラー服に赤いリボン。 スカート丈は膝上、ネイビーのハイソックス。 細身ながらも骨張った体つき、男であるのは一目瞭然なのだが。 ぱっちりアーモンドアイに元から色味が強めのグミめいた唇、メークが似合いそうな顔立ちのおかげで二十六歳成人男性の割に侑月はセーラー服を着こなしていた。 「ほら! くるってしたら見えるかも! ほらほら!」 缶ビール、コンビニで購入したオツマミやらが乗ったローテーブルを前にし、ソファに背中を預けてラグ上に座る諸岡の前で。 完っ全友達といるノリで侑月はその場でくるくる回ってみせた。 「あれっ」 くるくる回ったせいで一気に酔いが回った。 大体、くるくる回る動作なんてリーマン生活において滅多にあることではない、準備運動が必要なレベルだろう。 よって「おえっ」となって足元がフラついた侑月はその場で転倒しそうになった。 うわあ、やばい、こんな粗相したら今度こそ尊敬する諸岡課長に嫌われるーーー!!

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