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イケナイ情事で愛されて-2
その日、匡季は妻に夕食に誘われて街へ出かけた。
魚料理がとても評判のいいイタリアンレストラン、急に仕事の連絡が入り、彼女はお気に入りのグラスワインを一口だけ飲んで先に店を去り、残された匡季はパスタとアクアパッツァを少し残してシードルだけ空にした。
まだ通行人とイルミネーションで華やぐ夜九時過ぎの通りへ。
多忙な妻が緊急に呼び出されるのは今に始まったことではなく、慣れっこの匡季は散歩気分でのんびり家路についていたのだが。
「あ」
夜遅くまで営業している花屋の前で彼は足を止めた。
綺麗に咲き誇る夜のバラについ目を奪われた。
深くて、鮮やかで、綺麗な色……。
シードルの余韻で仄かに酔っていた匡季がぼんやりバラに見惚れていたら。
「神原?」
名を呼ばれ、振り返ると、そこには。
「お前、匡季か……?」
かつて恋人であった相模了 が立っていた。
「だめです、相模先輩、もう嫌です……っ」
「本当に?」
「ッ……」
「お前、本当に嫌? 俺に抱かれんの、嫌い?」
「だって……男同士で、こんなこと、」
「じゃあ俺が女だったら抱かれんのかよ?」
雨が降り頻る放課後、高校の裏庭。
濡れた匡季は思いも寄らなかった相模の言葉に、思わず、吹き出した。
「笑ってんじゃねぇよ、神原」
「だって、先輩が女の人だなんて、想像つかな、ッ、ん!」
台詞の途中でまた匡季は上級生で校内一の問題児である相模にキスされた。
匡季は、今度は、相模を拒もうとしなかった……。
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