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平凡リーマンのデキすぎ親友がビッチ化した件について/フツメン攻×(美形弁護士+男前若頭)

連日残業を終えて夜十一時に帰宅した岩崎倫太郎(いわさきりんたろう)。 ざっとシャワーを済ませ、テレビを点け、コンビニで買ったから揚げ弁当と缶ビールという遅い晩ごはんを始めた。 「お」 ニュース番組を見ていた倫太郎のそれまで眠たげだった目が急に大きく見開かれた。 「また出てる、昴の奴」 テレビでは世間にショックを与えた大手企業の闇取引に関するニュースが流れていた。 その件についてインタビューを受けた専門家が流暢に意見を述べている最中だった。 弁護士、倉間昴(くらますばる)。 大手保険会社や医療法人の顧問を務めており、何と言ってもその若さ、その類稀なる美貌で人気が出たのか、最近やたらこういったインタビューシーンを報道番組で目にする。 「すごいな」 高校時代を共に過ごした親友の輝かしい姿に倫太郎は感嘆した。 さて、番組は次のニュースへ、これまた世間を震撼させている血生臭い暴力団抗争を取り上げた。 「お」 そこでまた倫太郎は目を見張らせた。 「大丈夫なのか、あいつ、輝政」 暴力団若頭、幟輝政(のぼりてるまさ)。 異例の若さで昇進し、次期トップとも噂されている大幹部、数人の部下を従えて大股で颯爽とオフィス街一角で行われる会合へ向かう姿がテレビに写し出されていた。 「すごい」 高校時代の親友であった輝政に倫太郎は圧倒され、から揚げをぱくついた。 新卒で就いた会社はブラック、転職した二度目もブラック、そして三度目の会社は……ぎりぎりグレーといったところか。 残業代はもらえるし、度重なる土日出勤で睡眠不足だがデートする相手もいないし、余計な金を使わなくて済むし、強い不満はない。 「二人とも頑張ったんだな」 高校卒業後は別々の道を歩み、同窓会に二人が現れることはなく、倫太郎から連絡しても素っ気ない態度で……卒業してからは一度も会っていなかった。 忙しかったんだろう。 今のビジョンが、もう、高校の頃から二人の頭の中にあったのかもしれない。 『倫太郎、宿題、代わりに解こう』 『おい、廊下塞いでんじゃねぇよ、倫太郎が通れねぇだろうが、ボコられてぇのか、カス』 いつだって二人とも俺のことを気にかけてくれた。 今の二人に何か少しでも恩返しができたら。 でも一般リーマンの俺がそれぞれの道で成功している二人にできることなんて、うん、ないか。 「ま、いいや。寝よっと」 食べ終えた倫太郎が後片付けを済ませて歯磨きしていたら。 チャイムが鳴った。 もう零時を過ぎており、倫太郎は首を傾げた。 築ウン十年のマンションでオートロック・インターフォン機能ナシ、とりあえず玄関へ近づき、深夜の来訪者を覗き穴から確認した。 「お?」 びっくり、した。

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