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今日は駅前で19時-8

「ねーちゃんもいるんですよ 「もう結婚して甥っ子姪っ子、います 「会えば毎回おこづかいくれって。俺だってほしーのに」 重たくて死にそうだ、と運動不足の槇は思う。 酔っ払って足元が覚束ない大雅に肩を貸し、やっとの思いで清瀬のマンションに到着し、エレベーターに乗り込んで部屋の階数ボタンを押した。 「……ねーちゃんって、清瀬の?」 「俺のねーちゃん、にーちゃんの妹、です」 初めて知った。 清瀬、あんまり話さないから、家族のこと。 槇は内心しんみりした。 清瀬は清瀬で、槇がそういった話には関心を持たなさそうだと踏んで家族の話題は敢えて避けていた。 ちょっとした擦れ違いといったところか。 「……鍵、貸して」 「はーい」 部屋の主が残業で留守のため弟が預かっている合鍵でロックを外し、槇は久し振りに恋人宅を訪れた。 「槇さんならいけそうな気がしてきた」 ソファに大雅を寝かせるつもりが何故か自分が寝かされた槇。 恋人の不肖なる弟に組み伏せられて眉根を寄せた。 「ほら、いつもはそんな愛想ない顔つきだけど。たまーに見せる笑顔、あれ、反則ですよ?」 「……ちょっと」 押し返そうと試みるが体力のない槇の両腕にビクともしない大雅はさらに身を寄せてきた。 「っ……ちょっと」 「地味で、愛想なくて、にーちゃんのタイプど真ん中で。ぜんっぜん俺のタイプじゃないのに」 「っ……お前、百八十度趣味違うんだよな?」 情けなくジタバタしている槇に大雅は笑いかけた。 「うん。明るくて話が合って見た目よかったら、俺、男でも女でもいけます」 バイなのか、こいつも。 「だけど槇さんみたいな人も……ううん、槇さんもいいかもしんない……」 何ともご勝手な大雅にキスされそうになって槇は必死で身を捩らせた。 「い、嫌だ……っ清瀬……っ」 「俺も清瀬だもーん」 「…………大雅、お前…………」 好き勝手やり過ぎた弟にたった今帰宅したばかりの兄による捌きが下される。 「荷物まとめて今すぐ帰って就活しろ!!!!」

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