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マーメイドな上司-3

バスルームでシャワーを浴び終えた新がゆったりしたエグゼクティブダブルの寝室に向かえば。 すでに先にシャワーを終えてバスローブを身に纏った瑞帆がダブルベッドに悠然と横たわっていた。 着慣れない新卒枠の新に対してやたら様になっている。 しなやかな長身体躯で男の色気と女性じみた色香を併せ持つ上司に、部下の足取りは、急にぎこちなくなる。 「そんな端っこに座るといざっていうとき落っこちるわよ」 新がベッドに浅く腰掛ければ瑞帆がするりと背中に寄り添ってきた。 濡れたままの互いの髪が触れ合う。 同じ香りがふわりと溶け合う。 「来なさい?」 ジムに通っている瑞帆にひょいっと抱き上げられて細身の新は眉根を寄せた。 そもそも今まで恋愛になんて興味もなく、むしろ軽視していたくらいで、誰かと付き合ったこともない未だ童貞な部下。 「すっごく硬くなっちゃって」 「ッ……なってません!」 「やぁねぇ。肩に力が入ってるってコト。すぐムキになるんだから」 「ッ……」 「アナタの悪いトコね」 瑞帆はベッドの中央で項垂れた新を後ろから抱きしめた。 「アタシの好きなトコ」 半開きの双眸に長い睫毛を被せて瑞帆は微笑む。 あからさまにカチコチな新に愛しさが止まらない。 体の関係を持ったのは暑気払いの飲み会後だった。 お酒の弱い新が酔っ払い、あくまで介抱するつもりで自宅へテイクアウトしたのだが。 『課長ぉ……すみません、ありがとう……ございます』 普段は気取った猫みたいにツンツンして何かちょっかいを出そうものならご丁寧に物静かに威嚇してくる部下が、ソファで丸まって、舌足らずな口調でお礼を言うものだから。 自身で決めていた二つのタブーを自ら破ってしまった。 「酔っ払いと同じ職場のコには手を出さない、そう決めてたのに。アナタのせいでアタシが築き上げてきたルールが引っ繰り返っちゃったわ」 「……俺のせいじゃありません、自分に甘い課長ご自身の責任です」 「物言いまでカチコチね」 ちゅ、とうなじにキスされて。 必要以上に項垂れていた新は真っ赤になった。 「もうちょっと柔らかくしてみない……?」 正面に回されていた両手の片方がバスローブの合わせ目を狙ってやってきた。 益々余計な力に漲る細い肩。 震え出す始末。 そんな部下の様に上司は微苦笑する。 「ベッドインは三回目かしら」 「か、会社のトイレで……ああいうのも入れたら五回目です、本当、いつか訴えますからね」 「五回、ね。五回ともぜーんぶきもちよさそうに達してたみたいだけど?」 「き、きもちよくなんかッ」 新は目を見開かせた。 うなじを甘噛みされながら胸元を緩やかに愛撫されて恥ずかしくて堪らなくなった。 「コバンザメちゃん、甘い味がする」 絶妙な力加減で片方の胸を揉み上げられる。 指と指の付け根で突起を挟み込むようにして、円を描くように、じっくり。 「そ、そんな……女性にするみたいに、嫌です、やめてください」 「アタシ女性の方にお触りしたコトないんだけど」 「だ、だって、こんなの」 甘噛みされたところを丁寧に舐め上げられた。 「ンッ」 仄かに紅潮していく新の肌身。 不慣れでしかない優しくも官能的な愛撫に熱を帯びていく……。

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