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君を喰らわば永遠まで-3

「一番の……メインディッシュ……?」 我知らずナイフを握って胸の前に翳していた青年に紳士はにこやかに頷いてみせた。 奥まった特等席、テーブルクロスの上にはまだ下げられていない皿、料理はどれも綺麗に片づけられて、華奢なグラスには血の色にも似た葡萄酒が少々。 おもむろに立ち上がった紳士は震える青年の手からゆっくり優しくナイフを奪うと。 端整な顔立ちをした給仕の不規則に波打つ喉骨へそっとあてがった。 「ルカ・ミスフィリウス」 名を呼ばれて凍りついた青年・ルカに紳士は品よく微笑みかけた。 「俺のテリトリーから逃げられると思った?」 真っ白なテーブルクロスが蔑ろにされて床に投げ出された食器、陶器の花瓶。 テーブル上に押し倒されたルカの耳にそれらがけたたましく割れる音色は一切届かずに。 「この舌を虜にした美味なる君を。また。捕まえた」 呪いじみた囁きを唱えた唇に口づけられて、美しいほど残酷に煌めく金色の眼を間近にして、わかった。 この先に待ち構える己の運命をわかってしまった……。 本日のメインディッシュにするだけではもったいない。 永遠の生餌に。 それほどまにルカは芳醇で甘露でそそられる舌触りで。 「嫌だ……っこんな、ありえなっ……どうして……っ」 食卓で体を無残に開かれて余すことなく食されていたルカは涙ぐんだ目で怖々と彼を見上げた。 テーブルに縫いつけられた両手。 剥ぎ取られた下の給仕服。 空を虚しくなぞる、革靴に包まれた踵。 「そう言いながらも。君のナカは俺のことを懐かしんでいるみたいだよ」 礼装姿を崩さずに彼はルカに肉杭を。 求めていた極上の一皿を久方ぶりに得、欲望に滾る熱源で愛おしい胎底をじっくり味わう。 強張っていた唇に再び口づけた。 結われた赤髪を滴らせ、仮膣最奥を小刻みに突き上げながら、唾液で潤う口腔を舌の先でこれみよがしに満喫した。 「ン……ン……っ」 明かりはほぼ消されて覚束ない洋灯の炎が壁紙に不穏な影絵を描く。 「……こんなこと……ありえない……」 森の片隅で禁忌を刻みつけられた体は思い出しかけているものの、とてもじゃないが頭で肯定できずに未だ混乱しているルカに、彼は舌なめずりした。 「そこまで言うのなら、いいよ、嫌でもわからせてあげよう」 着飾った紳士淑女達が夜の町を行き交う傍ら。 「はぁっ、あっ、あっ、あっ、んっ」 料理店の特等席でルカは狼に犯されていた。 テーブルにしがみついたルカに覆いかぶさり、しなやかな巨躯を揺らめかせ、解れてきた後孔に長く太い獣男根を繰り返し突き入れる。 限界まで押し拡げられる仮膣。 火照りきった肉壺が執拗に掻き回される。 「ん……っん……っあぅ……っはぁ……っ」 蘇った悪夢に襲われて、ルカは、切なげに喘ぐ。 壁際の鏡が写し出す紛れもない禁忌に涙が止まらない。 獣に感じてしまう。 いいや、獣じゃない、悪魔だ。 悪魔がもたらす快楽に堕落していくのを止められない……。 「もう、嫌だ……おね、が……殺して……」 罪深く発情する我が身を嘆いてまたとどめを願ってきたルカに狼は。 種付けを。 嬉々としてかけがえのない胎底に思う存分子種を打ちつけた。 「あーーーーー……っっっ」 「息の根を止めてあげよう、ルカ、何度だって」 背筋を引き攣らせて極まっていたルカに紳士の姿で彼は擦り寄る。 「何度だって根こそぎ平らげてあげよう」 革手袋に覆われた手がルカのペニスを握りしめる。 すでに膨れていた先端を念入りに愛撫する。 「や……ッッッ」 思わず仰け反った細身の体を真後ろから抱きしめ、顔の向きを変え、飽きない口づけを施してやる。 「ん……ッッん……ッッん……ッッ」 子種で濡れそぼった仮膣奥をゆっくり突かれるのと同時にペニスをしごき立てられ、唇奥まで虐げられて。 解けない抱擁の中で一段と跳ねたルカの体。 迸った白濁。 堕落の証……。 食卓に紡がれるルカの途切れがちな断末魔。 テーブルに仰向けに横たえられ、床に跪いた彼の貪欲な唇に深々と捕らわれ、汗に艶めく喉が扇情的に頻りに反り返る。 終わりのない悪夢。 この牙の犠牲となった馳走の返り血で染まった紅き我。 君を永遠に屠るもの。 end

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