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異世界わん!!-6

「おい、八代はどこに行った、まさかまた神隠しじゃないだろうな?」 気が付けば燎一郎は再び異世界へ。 しかも木の上から地面へ落下している最中だった……!! 「は……ッはあ!!??」 お、落ちてる、ちょちょちょ、ちょい待て、さっきまで教室にいたろッ? つぅか、俺、うん、やっぱ落ちてる、このままだと地面に激突して、うん、死んじまう!!!! 「しっ死にたくなぃッッッ! カッ……カミューーーーッッ!!」 どさっっ!! 燎一郎は地面に落っこちなかった。 頭やら制服に葉っぱをくっつけた平均体型で茶金髪で両耳ピアスつきのヤンキー男子は頑丈な両腕に見事抱き止められた。 燎一郎落下に伴ってふわふわ舞う落ち葉。 森の中に差し込む日の光に透けてキラキラ輝くような。 「燎一郎」 燎一郎は忙しげに瞬きした。 自分をキャッチしてくれた彼をまじまじと凝視した。 「カミュ」 カミュもまた我が腕で抱き止めた燎一郎を見つめていた。 引き締まった長躯で黒軍服を美しく着こなした、左目に眼帯をつけた、精悍なるジャーマンシェパード頭の獣人。 見つめ合った末にどんなロマンチックな会話が生まれるのかと思いきや。 「この愚か者が」 「は……あ!?」 「だから木登りなんぞするなと言ったのだ、それをお前は、これだから気短は困るのだ」 「おッお前こそッ、この短気ヤローッ、離せッ、今すぐ離しやがれ!!」 腕の中でジタバタし出した燎一郎にカミュは不意に口調を変えて呟いた。 「離したらまた消えてしまうんじゃないのか」 威圧的だった物言いが急に静まって、その台詞に、バタバタしていた燎一郎は目を見開かせた。 カミュは燎一郎を抱えたまま歩き出す。 落ち葉の吹き溜まりをブーツで踏み締めて屋敷に向かう。 「昨日、木の上から地面に落ちるより前にお前は空中で掻き消えた」 「ん……元の世界に戻ってたわ……」 「すまぬな、燎一郎」 「ん……?」 今度はこの私自らがお前をこの世界へ呼び寄せたのかもしれない。 「せっかく恋しかった世界へ戻れたというのに。私の想いが手綱となってお前をこのグロウルへ連れ戻したのかもしれない」 違ぇよ、カミュ。 俺はもう…………。 「燎一郎様」 「「戻ってきてくれたのね」」 「にゃん♪」 屋敷に到着すると仔猫を抱いた執事のセバスチャンと双子メイドのリアナ・ケシャに出迎えられた。 「昨日は大変でしたぞ」 「へ?」 「燎一郎がまた消えたって、ご主人さま、それはそれは、ねぇ?」 「ご乱心だったわねぇ?」 「ご乱心の果てには燎一郎様が消えてしまった場所から一歩たりとも動かないと言い張る始末でございまして」 「何とか夜はお屋敷に戻ってもらったけど?」 「今朝はそれはもう早い時間から、ねぇ?」 未だ抱き抱えている燎一郎が笑いを堪えているのを見、カミュは苦虫を噛み潰したような顔で召使らに言い渡した。 「仕事に戻れ」 言い渡すなり外套の裾を翻して疾風の如く燎一郎専用の部屋へ。 開放感ある吹き抜けの玄関前で召使らは顔を見合わせる。 「これはこれは」 「「完全なるデジャブだわぁ」」 「にゃんっ?」

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