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召しませ不良くん-8

タローの真下で周は……真っ青になった。 やべぇやべぇやべぇやべぇ。 これ、カーテン開けられたら一巻の終わりだ、一生の汚点だ。 「誰かいるのかな?」 チーーーーーーーン、周の頭の中でご臨終の音が鳴り渡った。 そんな不良男子の焦燥も知らずに女子生徒は何とはなしに閉ざされていたカーテンに手を伸ばして。 シャっっっ!! 「「あ!」」 女子生徒二名は予想もしていなかった人物を目の当たりにして目を見開かせた。 学校で女子人気No.1を誇る後輩一年生の嗣巳にしか見えない彼に視線を根こそぎ奪われた。 上級生女子二人に、瞬時に犬耳を仕舞い、下半身に布団を引っ掛けていた彼は……完璧微笑を浮かべた。 「今、取り込み中です。申し訳ありませんが、サボりなら別の場所に移動して頂けますか」 そう囁きかけ、端整な唇の前にすっと長い人差し指を立て……悩ましげウィンク。 一瞬にして腰砕け寸前まで追い込まれた女子二人はくるりと回れ右、保健室から退散していった。 「今のツグミンだよ、信じらんない、保健室でとか、相手羨ましスギ」 「相手、見た?」 「あ、ちゃんと見てない、茶髪だったよーな」 「エロツグミン、ぱねぇ、最強」 興奮気味に階段を駆けのぼっていく上級生二人、一方、保健室では。 「……………………」 枕に伏せしていた周はぎこちなく顔を上げると真上に位置している彼を見上げた。 消え失せた犬耳。 制服じゃなく黒服。 眼鏡はない。 「…………お前…………タローだよな…………?」 いや、そもそも。 タローって誰だ。 何者なんだ。 「そうだね。俺は君のタローでもあるし」 君と同じクラスの委員長、嗣巳八楼(はちろう)でもあるよ。 「タ、タローじゃなくて、ハ、ハチ、ハチ公……ッじゃねぇ、はぁッ!? ど、どーいうことだよ、ああああッ!?」 「静かに、深浦君」 「おおおお、お前、犬なのかよ、その、犬神って血が半分はいってんのかよ!? うぉぉぉいッ!?」 「声が大きい」 「このクソ変態がッ! 俺のこと騙しやがって、コケにしやがって、ぇ、むぐぅッ!」 涙目にまでなってぎゃーーぎゃーー喚き散らす周の唇を嗣巳は塞いだ。 「んむ、む、む、む!」 タローのときと同じ。 ぶちゅぶちゅキスされた。 唇も口内も舐め回された。 「は……っふ……んむ、ぅ……っ」 息苦しい、窒息しそうな、キス。 「んぶ、ぶ……っ……なん、なん、だよ……」 やっと解放された周の唇は上下隈なく濡れそぼっていた。 まるで所有物と見なすマーキングだ……。 「うざ委員長……何がしてぇんだよ、てめぇ……」 うつ伏せから引っ繰り返されて嗣巳と向かい合う羽目になった周。 その熱いペニスはまだ身の内で脈打っていて。 黒髪の麗しの委員長は名残惜しそうに濡れそぼつ唇をなぞってきた。 「タローと一緒だよ」 「は……? 何、言って……」 広すぎる視野を閉ざすため、度の合っていない眼鏡をかけ、嗣巳は愛しの不良男子に囁きかけた。 「君の犬になりたい」

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