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とらとらとら!-5
「こんばんはぁ? あらっ、えっ、あらまー!」
あたしビックリしちゃったわよぉ。
お隣さんにビックリさせられたの、これで三度目かしらねぇ。
晩御飯のお裾分けに来てみたら、チャイム押しても返事がないもんだから、でも明かりは点いてるみたいだし、あら~と思って、ドア、開けてみたら、ね、開いたのよ。
そっしたらねぇ。
「グルルルルル」
「みゃーみゃー!」
お父さんもツカサ君もどっちも虎になっちゃってたのよ。
**
ふわぁ、むにゃむにゃ、あったけー。
朝起きたら俺も親父も虎になってて、うげってなったけれど、まぁそのうち戻るだろうと、今日はずっと家の中でごろごろしていた。
学校と会社に連絡できなくて、午前中は何回も電話が鳴ってたけれど、虎だからとれねぇ、しゃーない。
その内電話はぱったり止んだ。
午後はずっと親父のもふもふした腹のそばでごろごろしていた。
虎になると、俺、どうも甘えがちだ。
まぁ虎だし別にいいか。
**
ツカサ、なんて可愛いんだろう。
朝、目が覚めたら僕もツカサもまた虎になっていた。
だけど二人で同時にそうなることは初めてで、どうしようと不安になったけれど、のびのびしているツカサを見ていたら、まぁいつものように何とかなるかな……と思えてきて。
電話が鳴って、あんまりにも立て続けに鳴るものだから、前脚でとろうとしたら受話器を落っことしてしまった。
しまった、戻せない、迂闊に手を出すんじゃなかった。
「みゃーみゃー!」
ツカサが元気いっぱい僕にじゃれついてくる。
普段は僕よりしっかり者で、交尾以外、甘えてくることなんて滅多にないツカサにごろごろされるのは嬉しかった。
「あらまー!」
夜になるとお隣さんがお鍋を持ってやってきた。
「大変ねぇ、明日には戻ってるかしらねぇ」
「グルルルル」
「あ! じゃあお鍋明日でいいから!」
ツカサを撫でていたお隣さん、僕が「いつもすみません、ありがとうございます」という気持ちを伝えたくて近づいたらサンダルをぱたぱた言わせて駆け足で帰って行った。
僕とツカサは一緒にお鍋の中身を食べた。
お腹がいっぱいになったら、また、ごろごろした。
「うみゃー」
こんな日々が続くのも本当に悪くないかもしれないね、ツカサ?
**
「ん……あ、れ?」
次の朝、目が覚めてみれば俺だけが人間の姿に戻っていた。
すでに起きていた虎親父が覗き込んでいて、すりすり、顔に頭を擦りつけてくる。
「おはよ、親父……俺、今日は学校行ってくっから、あ、会社には連絡しとくな」
置きっぱなしにしていたお隣さんの鍋をざっと洗い、食パンを二枚ぱくつき、学ランに着替えた辺りで会社に連絡を入れ、親父は昨日からタチの悪い風邪を引いていると伝えて。
「んじゃ、行ってきます、親父」
鞄を小脇に抱えて玄関へ向かおうとしたら虎親父に引き留められた。
学ランの裾をぱくっと噛んで前進を懸命に拒んでいる。
おいおい、淋しがりやな飼い犬じゃあるまいし。
「親父、確か今日英語の小テストあるんだよ、だから俺、行かないと」
「グルルルルルル」
前進どころか、引っ張られ、後退。
しかもさらに力をこめられて、バランスがとれずに、廊下にゴツンッ!
「いでッ……あ、親父、ッ?」
背中に虎親父がのしかかってきた、まさか、このパターンは。
「交尾したいのかよ? 駄目だって、小テストあっから、高校受験も来年だし平常点稼がねぇと」
人間のときよりも精悍にできあがった虎面と肩越しに向かい合い、鋭い獣眼を覗き込んで言い聞かせても、虎親父、俺の上から退こうとしない。
押し退けようとしたが、駄目だ、全く歯が立たない、そういえば虎って猛獣だっけ。
「じゃあ、帰ってきたら、さ……相手するから。とりあえず学校行かせてくれよ?」
やはり全く退く気配なし、親父、実はガキの頃はワガママだったとか?
「お~や~じ~怒るぞ?」
俺が本気で睨んだら、やっと、虎親父が少しだけ立派な縞模様に飾られた体を浮かした、俺は這い蹲って巨体の下から抜け出そうとしたのだが。
ズボンをぱくっとされるなり、ずるるるるっと脱がされて。
爪を引っ込めた前脚でぱんつまでずり下ろされて、あっという間に、尻が丸出しに。
べろんべろんっ!
虎親父に尻を……正確に言うなら尻の穴を猛烈に舐められた。
「あーー……っ親父の……ッぶぁかッ! あんっあんっお尻……ッ熱いよぉ……ッ!」
虎親父にのしかかられて交尾開始から三十分経過。
二回種付けされた俺の尻は獣ザー汁でどろどろだ。
虎親父は三回目の種付け目指して激しく荒々しく腰を振っていた。
「は……っぁぁぁぁ……っも、らめ……ッほんとにデキちゃぅ……ッ」
凄まじくカチンコチンな獣ちんぽが尻穴の奥の奥まで突き立てられて、ぶちゅぶちゅぶちゅぶちゅ、やらしい音をこれでもかと立てまくって禁断交尾に励んでいる。
ひんやり冷たい廊下に片頬をくっつけた俺が情けなく腰だけを突き出した格好でヒーヒー喘いでいたら。
がぶっ
肩を噛まれた。
あれ、痛い、甘噛みにしては痛い!
「いっ、ぃたい……ッお、おとぉさ……ッ!?」
どうしよう。
まさか親父、ガチで、身も心も虎になったんじゃ。
俺のこと食べるつもりなんじゃ。
「おっおとぉさ……ッ痛いよ……ッ痛いってばぁ……ッあっあっ……やぁぁーーーっっ!」
肩をがぶがぶしながら虎親父は三回目の種付けに至った。
「はぁっはぁっはっはぁあぁぁっ……はぁっ! あーーー……ッ!」
三十分以上俺の尻んなかに長居していた獣ちんぽがやっと退散していく、ほっと一息つきたいところだが、これがまた痛い、だってトゲつきだから、逆さ向きに生えてるから。
「いっいたッいたぃぃ……ッああぅぅ……ッ痛いよぉぉーーー……ッ」
俺はこどもみたいに泣き喚きながらぎゅっと目を瞑った。
尻も肩も火傷したみたいに熱い。
熱い、痛い、熱い、痛い。
「う……ッう……ッおとぉさん、の、ばかぁ……ッこのくそじじぃ……ッ」
「……ツカサ……」
俺はぼろぼろ泣きながら何度も瞬きした。
振り返ってみれば、パジャマを乱した、眼鏡のずれ落ちた親父が、そこにいた。
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